WPPは、チップメーカーのNvidiaとパートナーシップを結び、大量の広告を量産してクライアントにAIを活用できるコンテンツエンジンの開発を発表しました。AIを活用したコンテンツエンジンを開発し、クリエイティブチームがクライアントのブランドと完全に連携しながら、高品質の商業コンテンツをより速く、より効率的に、そして大規模に制作出来る仕組みを実現すると発表しました。
このエンジンは、様々な3DツールをつなぐNvidiaのOmniverse Cloud技術を採用し、AdobeやGetty Imagesのものを含む3Dデザイン、製造、クリエイティブサプライチェーンツールのエコシステムを接続し、デザイナーの3Dコンテンツ制作環と生成型AIの機能を統合しています。これにより、WPPのクライアントは、企業のブランドアイデンティティ、製品、ロゴの品質、正確性、忠実性を維持しながら、個別にカスタマイズされたクリエイティブな方法で消費者にアプローチすることができます。
このエンジンは、「AIを使って、これまで数週間かかっていたキャンペーンを数分で作成する」ことを可能にするといいます。例えば、「砂漠や雨の降る路上に車を置き、従来のグリーンスクリーンや実写では何日もかかっていたような演出を、周囲に対して即座に車体を濡らしたり眩しさを反射したりすることができる」と言います。
このプラットフォームは、大手広告の主要な持株会社によるAI投資の最新事例と言えます。WPPはAIが “自分たちの業界にとって破壊的なものになる”ということを早くから知っており、Nvidiaと3~4年前から一緒に仕事をしてきたと語っています。現在、NvidiaはWPPのためにコンテンツエンジンを製品化している最中です。実験的な概念実証の段階から、製品化に移行している最中です。
NVIDIA創業者兼CEOのジェンセン・ファン氏がCOMPUTEXの基調講演でデモを行い、このエンジンを公開しました。世界最大のマーケティングサービス機関であるWPPのチームと連携し、画像や動画などの大量のブランド広告コンテンツや、3D製品コンフィギュレーターのような体験を、よりカスタマイズされた没入感のあるものにする方法をプレゼンテーションしました。
“7000億ドルのデジタル広告業界においても、生成型AIの特性を活かした手法を実現するための競争の激しさが増しています。オムニバースクラウドと生成型AIツールにより、WPPはブランドに対し、これまでにないリアルさとスケールで、商品体験や魅力的なコンテンツを構築・展開する能力を提供することが出来るでしょう”と述べました。
WPPは、AdobeのSubstance 3Dや没入型コンテンツ制作のためのAdobeのSubstance 3Dなどのソフトウェアや、クライアント製品のブランド精度の高いフォトリアルなデジタルツインを作成するためのCADツールなどの製品設計データのサプライチェーンをシームレスに接続でき、AdobeやGetty Imagesなどのパートナーから、責任を持って訓練されたジェネレーティブAIツールやコンテンツを使用して、多様で高忠実度の画像を作成し、シーンに取り込むことができるようにしています。もちろん、Adobe Fireflyや、NVIDIA Picassoを使用して作成されたゲッティイメージズの独占的なビジュアルコンテンツが含まれています。
最終的な成果物は、多様なフォーマットの精度の2D画像やビデオをレンダリングし、インタラクティブな3D製品コンフィギュレーターを公開したりすることができます。また、NVIDIAグラフィックス・デリバリー・ネットワークに公開し、消費者があらゆるウェブデバイスで体験できるようにすることができます。スピードと効率に加え、これまでクリエイターが、バラバラのツールやシステムから来るバラバラのデータを使って何十万ものコンテンツを手作業で作成しなければならない現在の方法を凌駕するコンテンツエンジンだと言えます。
この新しいコンテンツエンジンは、まもなく世界中のWPPのクライアントに限定して提供される予定です。