Media Innovationでは毎年恒例の年末年始企画として、メディア業界の様々な方に、2023年の振り返りと、2024年の展望について寄稿いただきました。良いことあり、辛いことあり、という一年間の後に、どんな飛躍が待っているか、皆さんからのメッセージを順次公開していきますので、お楽しみに。
土本 学 (つちもと まなぶ)
株式会社イード 執行役員 メディア事業本部長
1984年、山口県生まれ。学生時代に立ち上げたゲームメディア「インサイド」を、株式会社IRIコマース&テクノロジー(現イード)に譲渡し入社。ゲーム関連のメディア運営や、アニメなどエンタメ関連の事業を統括を経験した後、社長室でM&A、投資、アライアンス構築などを担当。2016年よりメディア事業の責任者となる。現在はイードのメディア運営全般を指揮する傍ら、2019年には「Media Innovation」を立ち上げ、メディア業界全体の発展のための活動を行っている。
今年はどんな仕事に取り組みましたか?
2022年末からですが、生成系AIの流れが一番大きくメディアを変える可能性があると考え、自身でも取り組んできました。決算の自動記事化などは以前より試行錯誤してきましたが、生成系AIという新しい世界が生まれた事で、違う次元のことが実現できるようになったように思います。弊社でも「イードアーティクルラボ」という組織を立ち上げ、エンジニア総出でプラットフォームのAI化を進めています。
成果の一つとして、Media Innovationでも記事執筆の手伝いをしてくれるAIbotを運用しています(例えばこの記事)。様々な側面から編集者のサポートをするAIを作り込んでいくことにより、新しい取り組みにリソースを割けるようになればと思います(そもそもメディアの人たちは忙しすぎる)。2024年は編集面以外でもAIの導入を進めていければと思っています。
今年一番注目した出来事は何だったでしょうか? (業界動向、身の回りで起きたこと、その他何でも構わないです)
年の瀬の話題でしたが、デイリーポータルＺが東急グループから独立するという話が印象的でした(発表、ITmediaの記事が詳しい)。2002年から運営されている老舗のメディアですが、今後は独立採算でやっていくということです。その核となるのが、「はげます会」という会員制で、なんと月額11万円という高額コースもあるとのこと。
昨今、メディア業界ではビジネスメディアでのサブスクリプションでの成功例が出てきていますが、「愉快な気分になりますが、役に立つことはありません」と銘打つようなエンタメメディアで、経済的な価値ではない、コミュニティ価値での課金モデルが成立するとしたら業界にとって、一つエポックメイキングな出来事になるのではないかと思います。
メディア業界で今後の焦点となりそうな事は何だと思いますか?
コンテンツの作り方(AIを含む)、ビジネスの作り方(広告の低迷など)、どちらの面でも大きく変わりそうな局面を迎えていると思います。全体としてメディア企業の経営環境は厳しくなってきていて、コンテンツ・ビジネスともに新しいチャレンジをしていかなくてはならない場面だと思います。「ピンチはチャンス」という言葉もありますので、難しい環境をバネに飛躍できる一年にしたいと思います。
2024年への意気込みを聞かせてください
2024年はニュースレターを欠かさず出せるように精進したいと思います(と言いながら、1/1はお休みさせていただきます)。
Media Innovationも再度ギアを入れ直し、AI時代のメディアの形を実践しながら、メディア業界で活躍する皆様にとって有益な情報源になるように頑張っていきますので、引き続きの応援、宜しくお願いします。
