広告の制作において、生成AIの活用がめまぐるしいスピードで進んでいます。生成AIツールを導入するメリットは、効果的な広告クリエイティブを制作することだけではありません。時間とリソースのより効果的な管理にもつながります。しかし、クリエイティブチームは、これらのツールをテストすることから、日々のプロセスへ実際に組み込むことができるのでしょうか？
業界トップクラスの広告クリエイティブデザインノウハウを持つAppLovin社内のクリエイティブエージェンシーであるSparkLabsは、実際にチーム内でタスクフォースを作成し、AIの導入に成功しました。彼らは先日リリースされたレポート「パフォーマンス主導の広告トレンド 2024」で、ワークフローにAIを統合するプロセスに関するインサイトを提供しています。2023年、SparkLabsが制作した全クリエイティブにおいて、生成AIの使用率は170%上昇しました。その結果、生成スピーチのみを使用したクリエイティブの有効性は118%も高まり、効果的なクリエイティブ制作におけるAIの大きな可能性が示されました。
SparkLabsにとって、2023年は前半、後半で全く内容の異なる1年でした。上半期、SparkLabsは市場に出回る新しいAIツールのテストに専念し、下半期は、チームのクリエイティブプロセスに本格的にAIを導入し始めました。この記事では、この1年クリエイティブ制作にAIを取り入れる中でSparkLabsが発見したことを紹介していきます。
生成AI活用のヒント①「考え方の改革」を起こす
SparkLabsは、進化し続けるAIを恐れるのではなく、受け入れることの重要さを強調しています。新しいツールや機能がどんどん登場する中、不安を感じる必要はありません。それよりも、現在、そして将来に向けてAIの可能性を積極的に探ることに注力していくことが大切です。そうすることで、ワークフローとクリエイティブを強化するためにAIをどのように活用できるかについて理解を深めることができます。
多くのクリエイティブチームは、AIを試してみて最初はそのポテンシャルに大きな期待を寄せるものの、その後、行き詰まる傾向にあります。下記に記載されている課題は、しばしばAIの導入を停滞させる原因となります：
● 取組の成果がバラバラ：個人でうまくいったとしても、チーム全体の利益につながらない
● 効率の停滞：最初は生産性が向上するが、学習曲線を描いた後に停滞する
● コミュニティ重視：個人の利益からチーム全体の影響力へと広げるのが難しい
この停滞期を乗り超えるのは難しいかもしれませんが、SparkLabsチームは、チーム全体でイノベーションと改善を続けていくために、以下のステップを踏むことを推奨しています：
● オープンなコミュニケーション：オープンなディスカッションを促し、知識を共有して情報のサイロ化を防ぐ
● 専任のAIタスクフォースを結成する：小規模なチームを発足し、AIの調査・導入の主導を任せる
● 知識共有：随時更新される最新情報を載せたドキュメントとベストプラクティスを作成し、チームで共有する
● 継続的な学習：常に新しいAIツールを導入し、既存のツールをアップグレード・改良する。継続的にツールをテストし、既存のワークフローを強化する
この協力的なアプローチにより、SparkLabsは同チームがAI導入の最大の課題として挙げていた「考え方の改革」に取り組んでいます。AIの使い勝手が向上する中、その真の価値は、AIが単に美観を向上させるだけでなく、ワークフローにどのような革命をもたらすかを理解することにあります。こうした新しいツールを取り入れるうえで、成果向上だけに期待するのではなく、それが効率や生産性、そして創造性に与えるより幅広い影響について考えてみましょう。SparkLabsチームは、画像の背景除去やモーショントラッキングといった平凡な作業にAIツールを適用することで、作業時間を1,600時間以上削減することに成功しました。時間を短縮し効率を高めるために、自社チームがどこに生成AIを適用できるか検討してみてはいかがでしょうか。
生成AI活用のヒント②「変化」と「責任」を重要視する
すでにAIツールをテストしているクリエイティブチーム向けに、一足先にAIを取り入れたチームからのヒントを紹介します：
● プロンプトをマスターする：時間をかけて、さまざまなAIツール向けの効果的なプロンプトの書き方を学びましょう。ChatGPTやGeminiのようなAIツールを使ってプロンプトを試すこともできます。その他に、公式ガイドやオンラインコミュニティなどのリソースも役に立ちます。（例えばRedditでは、多くの疑問への答えが見つかります）
● 変化に備え、素早く対応する：AIツールは常に進化を続けています。SparkLabsチームはテストを重ねるうちに、「手作業で10分で終わることをAIで実行する方法を10時間かけて学んでも、10日後にはツールが全面刷新される」ことを知りました。
● 責任を持ってAIを使用する：過去に生成AIがデザイナーや作家がつくったものを借用し、倫理的な問題に発展したことがあります。法律や著作権に留意し、怪しいと思ったものはすべて調べるようにしましょう。特に文章については、内容が時折不正確であることをツール開発者自身が認めています。
● 依然として人間が必要：AIは人間の仕事を盗むわけでもなく、AIが仕事をしてくれるおかげで人間が休めるようになるわけではありません。優れたものを生み出すには、人間の知性・創造性・感性が依然として求められます。生成AIは、人間の創造性を高めるためのますます便利なツールとなっていますが、人間だけが持つ素晴らしい能力が必要なことに変わりはありません。
生成AIで描く未来
これまで紹介してきたSparkLabsのインサイトは、AIは効率化を促進し、創造性あふれるアウトプットを実現する強力なツールだということを示しています。SparkLabsが焦点を当てているのは、チームがAIの可能性を探り、AIの導入を促し、力強くサポートすることにより、短期的な即効性よりも長期的な利益を優先する継続的な学習文化を育むことです。自社でもこのアプローチを採用し、生成AIの可能性を引き出して、ワークフローやクリエイティブプロセスを改善してみてはいかがでしょうか。
SparkLabsが生成AIを使ってどのように生産性を高めたかについてより詳しく知りたい場合は、AIを活用して効果的なクリエイティブを制作する方法を紹介した 「パフォーマンス主導の広告トレンド 2024」レポートをご覧ください。
※本記事はAppLovinによる寄稿記事で、Media Innovationの見解は含まれていません
