世界最大級の広告代理店グループWPPは、英国現地時間の5月28日、AI技術を駆使したメディア企業「WPPメディア」を立ち上げたと発表しました。これまでの「グループエム」から名称を変更し、インテリジェント時代における同社の地位をさらに強固なものにすることを目的としています。
WPPメディアは、統合型サービスへのクライアントの需要の高まりを受けて設立されました。同社は年間600億ドルを超える広告を管理し、世界中の広告主の75%以上と80を超える市場で取引を行っています。
同社は、WPPのAI搭載マーケティングシステム「WPP Open」を活用し、グローバルネットワークとリソースをシームレスに連携させています。これにより、先進的なプラットフォームを構築し、総合クリエイティブ、制作、データ、コマース、パーソナライズドメディア配信サービスを提供することが可能です。WPP Openには年間3億ポンドを出資しており、AI関連企業とのパートナーシップがこれを支えています。
WPPメディアの完全統合型サービスにより、クライアントはメディア、データ、制作を一体化し、オウンド、アーンド、シェアード、ペイドのメディア活動を包括的に管理できるようになりました。また、大規模なパーソナライゼーションにも対応できます。今後、WPPメディアは、最先端のコネクテッドコマースと測定・分析により、サービスを強化する予定です。
マインドシェア、ウェーブメーカー、エッセンスメディアコムは、WPPメディアのグループブランドとして、クライアントごとに専任チームを編成し、共通のサービス、技術、サポートを提供していきます。
WPPメディアのCEOであるブライアン・レスター氏は、「消費者はすでに、広告が自身の関心に合致し、魅力的であり、スムーズな購入体験を提供することを期待しています。AI時代において、こうした消費者の期待値はさらに加速していくでしょう」と述べています。
同氏は、WPPメディアについて「メディアが至る所に存在し、あらゆるものに組み込まれる世界に対応するための会社」と紹介。消費者行動の急速な変化に対応し、AIがもたらす成長機会を最大限に活用できるようクライアントを支援していく方針を明らかにしました。
WPPのCEOであるマーク・リード氏は、「テクノロジーと人が融合するAI時代において、WPPは世界の有力ブランドにとって最も信頼されるマーケティングパートナーであると確信しています」と強調しました。続けて、「WPPメディアへの移行は、クライアント・サービスの簡素化と統合を推進する当社戦略の一貫です」と説明しています。