世界の広告市場は、依然として高い成長軌道にあります。WPP傘下のWPP Mediaは2025年12月、年次広告市場予測レポート「This Year Next Year December 2025」を公表し、2025年の世界広告収益が前年比8.8%増の1兆1400億ドルに達するとの見通しを示しました。これは年央時点の予測から上方修正された数値であり、広告市場の回復力の強さを示す内容となっています。
同レポートは、WPP Mediaのグローバル・ビジネス・インテリジェンス責任者であるケイト・スコット=ドーキンス氏が主導してまとめたものです。2026年についても成長基調は維持され、広告収益は前年比7.1%増になると予測されています。中期的には年平均成長率6%台という、成熟市場としては比較的高い成長が続く見込みです。
今回の上方修正の背景として、レポートではマクロ環境の不透明感が想定よりも広告投資に悪影響を及ぼさなかった点を挙げています。貿易関税や地政学リスクは引き続き存在するものの、企業が在庫確保や価格調整を前倒しで行ったことにより、消費と広告出稿が底堅く推移したと分析しています。





