プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営するPR TIMES(東京都港区)は、2025年1月~10月に掲載された38万2296件のプレスリリースを対象にした「PR TIMESコンテンツ基準」に基づく審査結果レポートを公表しました。同期間における審査連絡は3414件で、全体の0.9%でした。
最多は「最上級表現の根拠不足」
レポートによりますと、審査連絡で最も多かった項目は「No.1」「業界初」などの最上級表現の根拠が確認できないケースで、全体の31.2%を占めました。次いで、新しい情報が読み取れない「新規性の不足」が19.2%となり、この2項目が上位を占めています。
前年は「新規性の不足」が最多でしたが、2025年は順位が逆転しています。その背景として、2025年6月から施行された改正労働安全衛生規則により、熱中症対策関連の製品やサービスの発表が活発化し、夏季に「全国初」「最安値」などの表現を伴う情報発信が増えたことが要因として挙げられています。
実際に、最上級表現の根拠不足に該当したプレスリリースは7月が最も多く149件で、6月・8月も月平均(106件)を上回る結果となりました。
万博関連で“意図せぬ権利侵害”が増加
同社は、公式スポンサーではない企業が国際イベント名などを利用し、誤認を招く恐れがある「アンブッシュ・マーケティング」に該当し得る表現についても審査対象としています。2025年は36件が該当し、前年(6件)から6倍に増加しました。うち34件が大阪・関西万博の名称を用いたもので、4月の開幕時期に合わせて情報発信が急増したことが影響しているといいます。
前年はフランス・パリで開催された国際スポーツイベントを巡るケースが中心でしたが、2025年は自国開催の万博に関連した情報発信が多く、関西エリアの飲食店や宿泊施設によるキャンペーン告知などが目立ったと分析しています。
PR TIMESは、イベント関連法規や不正競争防止法の観点から、誤認を招く可能性のある表現を審査することで、プラットフォームとしての信頼性を維持する姿勢を示しています。
審査連絡は前年比で減少、一方で増加項目も
2025年の審査連絡は3414件で、前年(4032件)と比べて減少しました。しかし項目別では変動があり、「時節に合わせた既存の取り組みの紹介」は前年比約2倍の117件となりました。バレンタインやゴールデンウィーク、ハロウィン、季節要因(梅雨・猛暑)に合わせて、新規情報を含まない製品・サービスが発信されるケースが増加しているといいます。
今後の取り組み
同社は今後、コンテンツ基準の一部アップデートや審査体制の強化を進める方針です。特に、同一内容の再告知に該当するケースを事前に判断しやすくするため、具体的な事例を基に基準を明確化していくとしています。
また、アンブッシュ・マーケティングや季節トレンドに絡む注意点については、解説記事やセミナー、個別案内を通じて利用企業への周知を強めていく考えです。









