愛媛新聞社(松山市、加藤令史社長)は、スタートアップのバリュークリエイション合同会社(大阪府、山田知宏代表)と協働し、NFCチップを埋め込んだ新聞折り込みチラシ1000部を松山市内に配布する実証実験を実施しています。配布は2026年3月18日に開始され、現在も継続中です。
新聞折り込みチラシにNFCチップを応用し、一定数を大量配布するのは全国初の試みとのことです(同社調べ)。ハガキやノベルティなどでNFCチップ入りメディアを配布する事例は既にありますが、折り込みチラシへの展開は前例がありません。

テーマは防災です。松山市石井地区のまちづくり協議会および自主防災連合会の協力を得て、近隣の避難所などがひと目で分かる略地図をチラシに掲載しました。NFCのリンク先には、愛媛新聞社が2016年度から実施している防災企画「いよゼロプロジェクト」の毎日更新される防災クイズを用意しています。
地方紙などの紙媒体は信頼性の高い情報源として地域に根差す一方、デジタルへの誘導や効果測定に課題を抱えています。本実験では、NFCタグを使ってリッチなデジタルコンテンツへ誘導し、毎日アクセスしてもらう仕掛けと組み合わせました。配布後はサーバー側でアクセス状況を測定しています。
NFCチラシの製造とデジタル領域の監修を担当したバリュークリエイションは、比較的低コストで薄型チップを大量に紙に仕込み、インクジェットプリンターなどで印刷できる手法を確立しました。どのチップがアクセスしたかを個別に解析できる点がNFCの特長です。

本実証実験は愛媛県「EHIME新事業ラボ」による取り組みで、同ラボは株式会社Relic(東京都渋谷区、代表取締役CEO北嶋貴朗)が運営しています。また、松山市オープンイノベーション促進奨励金を受けて実施されました。チラシ制作は大阪府内の就労継続支援事業所に依頼しましたが、今後同様の事業を行う場合は愛媛県内での発注を検討中とのことです。
今後の展望として、会員組織を持つ企業がポイント付与を通じて顧客ロイヤリティ醸成に応用する可能性にも言及しています。愛媛新聞社は紙とNFCを組み合わせた新メディアのソリューションを企業・団体に提案していく方針です。
なお、愛媛新聞は愛媛県内で発行される新聞の63.8%(2024年日本ABC協会報告部数)を占めています。




