女性のデジタルサービス利用に影響を与える「時代」「年齢」「世代」効果・・・「女性オーディエンス・インサイト」Vol.4

本記事は株式会社電通が提供している、広告業界の最新動向やトピックス、コミュニケーション領域に関連する電通グループの先進の知見やサービス、ソリューションなどを紹介するニュースサイト「ウェブ電通報」からの転載記事です。 前回は女性の世代別価値観や傾向につ…

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本記事は株式会社電通が提供している、広告業界の最新動向やトピックス、コミュニケーション領域に関連する電通グループの先進の知見やサービス、ソリューションなどを紹介するニュースサイト「ウェブ電通報」からの転載記事です。

前回は女性の世代別価値観や傾向について5歳刻みで分析した結果を紹介しました。今回は前回予告した内容と一部異なりますが、第2回でご紹介したクラスター分析によるデジタルサービス全体の概観をテーマに、さらなる考察を行いたいと思います。

昨今、女性はパソコンやスマートフォンを駆使してさまざまなデジタルサービスを利用していますが、その利用を促進するファクターは何でしょうか。今回、時系列データを使った本格的なコーホート分析(※)を行ったわけではありませんが、その考え方を援用しつつ、定性的に三つの効果に分けて考察します。

(※)コーホートとは古代ローマ軍における軍団の単位を語源としている。コーホート分析とは、同じ時代に生まれた人のライフスタイルや価値観、意識、行動様式などを分析すること。同時期に生まれた集団、すなわち同世代の人々は、時代が変化しても【時代効果】、加齢しても【年齢効果】、社会的に同様の体験をするため共通の価値観を持つとされる【世代効果】。

時代ごとの新たな事象の影響を受ける~「時代効果」

スマートフォンの普及など、コミュニケーションの仕方が変わるような新価値を持つ手段だけでなく、社会の変革を促す制度や事象が、価値観や意識を変容させることがあります。例えば、2018年頃から話題になった人生100年時代の到来によって、定年後40年間の生活設計が迫られることで消費意識が変わったということもあるでしょう。

他にも、バブル崩壊リーマンショック、最近ではコロナ禍など、人生観や社会観を根本から見直すような体験したことによって堅実的な生活様式を是とするような空気感が醸成されることもあります。

こういった事象が各時代の標準になっていき、その結果、「時代効果」のようなものとして価値観や意識を形成する一翼を担うことになるわけです。

出産子育てで使用するデジタルサービスに変化~「年齢効果」

結婚、出産、子育てという女性にとって大切なイベントの中で、結婚については未婚の人もいれば既婚の人もいて、初婚年齢も人や地域によってまちまちです(厚生労働省が発表した2018年度の結婚平均年齢は、男性31.1歳、女性29.4歳)。しかしながら、出産子育てという段階になると、女性が使うデジタルサービスの様相が変わってくるようです。

プレママとママの疑問や悩みを解決するママリというデジタルサービスを<よく利用する>と<たまに利用する>の合計は、ガラケー世代(20代後半)で35.4%、ゆとり教育世代(30代前半)で31.8%となり、およそ3人に1人が利用するという結果になりました。

第2回の内容でも明らかなように、出産子育て系のデジタルサービスは一つのクラスターを形成しており、独自のポジショニングとなっています。

また、上記のようなライフステージの変化以外にも、当然といえば当然ですが新しいデジタルサービスが登場すると、高齢者層より若年層のほうが自然と受け入れていくようです。図表2をみると、動画共有サービスのTikTokはキャッチアップ世代、すなわち10代後半の、<よく利用する>と<たまに利用する>の合計が32.2%で、全世代でズバ抜けて高く、画像加工サービスのPicsArtも同59.7%と、こういったデジタルサービスは若年層のコミュニケーションには欠かせないものとなっています。

逆に年齢が上の人ほど使われるデジタルサービスもあるわけですが、価値観や意識が形成される際に、いわば「年齢効果」のような形で加齢の影響を受ける部分もあることが分かります。

価値観形成期における情報接触が大きく影響~「世代効果」

第3回の内容を見返すと明らかですが、5歳刻みで見るとそれぞれの世代の価値観や意識の違いが浮かび上がります。キャッチアップ世代から団塊の世代までの12世代×5歳刻み=60年間のレンジで、非常に多彩な世代の特徴を観察することができます。Windows95i-modeケータイなどの情報サービスの他、矢沢あいさんの漫画作品ファッション系女性誌などのコンテンツといったものが価値観や意識の形成に大きく作用することが分かっています。

コミュニケーションの在り方についても、第1回で見たように特定の世代になじみやすいコトバや表現が求められます。大手食品メーカーがバーチャルタレントを起用して、「ありよりのあり」というクリエーティブのテレビCMを制作しましたが、まさにこれは、コトバの意味を理解でき、バーチャルの世界観にも共感する現在の若年層に向けた訴求です。

こういった取り組みは高度なターゲティング事例ですが、ここで紹介したコミュニケーションに共感を示す層は、「世代効果」のようなものがそのまま持ち越されて、将来においてもその世代特有の感覚が持続することでしょう。

さいごに

コーホート分析の考え方では、それぞれの世代は固有の価値観をベースに時代と年齢の変化を受容しながら、その「ありよう」を変容させていきます。特に、これから社会の中で核に躍り出て消費の主役になっていく世代は、現在の延長線上に、どういったメディア環境の下で、どのようなコトバを使って、どんなデジタルサービスを使うようになるでしょうか。今後も女性オーディエンスのインサイト研究のテーマが尽きることはありません。

【調査概要】
●調査名:女性年齢階層12区分調査
●対象エリア:関東(東京都/神奈川県/埼玉県/千葉県)、中部(愛知県/岐阜県/三重県)、関西(大阪府/京都府/兵庫県/奈良県)
●対象条件:15~74歳女性
●サンプル数:3,000ss
●調査手法:インターネット調査
●調査期間:2019年11月1日~5日
●調査機関:ビデオリサーチ

《電通報》

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