広告のプライバシー規制がメディアに与える影響…収益減の危惧、読者を抱えるメディアには好機という見方も

アップルが9月中旬にも投入するとしている最新のOSであるiOS14において、広告主がユーザーをトラッキングするための仕組みであるIDFA(Identifier for Advertisers)の利用が、ユーザーによるオプトインが必要となります。これによってユーザーがアプリ毎に許可をしなければ、広告のターゲティングや効果測定が困難になります。

広告の収益基盤だったターゲティング能力が損なわれる

一般的にインターネット広告は、ユーザーのデータを蓄積し、過去の行動データによって、掲載する広告を出し分けることによって、より高い効果を実現し、それによって広告単価の上昇を目指してきました。アプリにおいてこの中核技術となっていたIDFAの利用が厳しく制限されることは広告業界にとって大きな打撃になると考えられています。

また、ウェブでも最大勢力のChromeブラウザで、第三者ウェブサイトで発行されたクッキーの利用が2022年から利用できなくなる予定で、同様の衝撃があるものと捉えられています。

IDFAについて、フェイスブックは同社が展開している広告ネットワーク「Facebook Audience Network」において、iOS14以降のユーザーでのIDFAの利用を行わない決定をしたと明らかにしています。Facebookでのユーザー行動データによって高収益を実現してきた同社ですが、iOS14以降では、収益性が半分になる可能性もあると警告。

ビジネスが非常に困難な状況の中で、iOS14はさらにパブリッシャーや開発者を傷つける事になります。私達は2019年に、世界中の1.9万人以上のパブリッシャーや開発者に数十億ドルを支払ってきましたが、これらの多くはビジネスを広告に依存している中小企業です」とアップルの決定を非難しています。

広告ネットワークの収益性が低下するということは、それを掲載しているパブリッシャーやアプリ開発者の収益を損なうということです。メディアでもiOS14の導入への警戒の声と、逆に好機と捉える歓迎の声の両方が聞かれるようになりました。

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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