ニューノーマル時代の働き方に必要なハードとソフトの考え方、アカマイ鈴木氏に聞く

9月25日に開催する半日間のオンラインカンファレンス「Publishing Innovation Summit 2020」では、世界の先進事例を元にパブリッシャーの未来について議論します。 世界中のメディア企業が在宅勤務、リモートワークを導入していますが、本イベントの主催であるアカマイ…

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9月25日に開催する半日間のオンラインカンファレンス「Publishing Innovation Summit 2020」では、世界の先進事例を元にパブリッシャーの未来について議論します。

世界中のメディア企業が在宅勤務、リモートワークを導入していますが、本イベントの主催であるアカマイも全面的な在宅勤務を導入し、来年6月末までは出社禁止を継続する計画だということです。アカマイ・テクノロジーズのRegional Vice President 業務執行役員の鈴木達也氏は「ニューノーマル時代に向けたリモートワークの実践と取り組み」と題して、同社のリモートワークの実践で得られた知見をシェアします。

メディア企業も参考になる同社のリモートワーク実践について事前にお話を聞きました。

鈴木 達也(アカマイ・テクノロジーズ合同会社 メディア営業統括本部 業務執行役員)
2007年にアカマイテクノロジーズ(同)に入社。メディア部門の営業本部長、営業統括本部長を経て現在は業務執行役員としてアカマイのクラウドサービスの日本における展開を指揮しています。2011年にGlobal Major Account Executive of the yearを受賞、2013年にダニールウィン賞を受賞。アカマイテクノロジーズ入社前はドリコムにて社内ブログサービスの立ち上げを担当。Tsinghua-INSEAD Executive MBA(TIEMBA)在学中。

―――アカマイはCDNというイメージが強いのですが、リモートワークのためのソリューションもお持ちだと聞きました

アカマイはウェブのパフォーマンスを向上させるためのソリューションが主軸で、CDNなどを展開していますが、クラウドセキュリティの分野も急速に拡大していて、全体の売上の1/3を占める規模にまで成長しています。

セキュリティではゼロトラスト(全てのアクセスを信頼しない事を前提とした設計)の取り組みを、自社を含めて推進していて、全ての社内アプリケーションをインターネット経由で提供し、そのアクセスに当たってはID認識型の接続管理ソリューションの「EAA」を通過させ、危険な通信を遮断する「ETP」とセットで待ち構えています。

オフィスからの通信だから、VPNを経由した通信だから信頼するというのではなく、全ての通信に認証を要求するゼロトラストの手法を取ることで、リモートワークなどオフィス外からのアクセスも容易に実現できるというわけです。

―――新型コロナウイルスの拡大を受けて早期に在宅勤務に切り替えられたそうですね

2月には在宅勤務の強い推奨を行い、3月には全世界で在宅勤務に切り替え、オフィスへの出社を禁止しました。この措置は現在も継続していて、少なくとも2021年6月30日までは継続する予定です。また、年末までは海外出張も原則禁止されています。

前述のように、自社で展開しているクラウドセキュリティの基盤を利用することで、オフィスに出社しなくても業務が安定的に継続できる仕組みが構築できていたというのは非常に大きいと思います。

―――その一方で、ハード面だけでなくソフト面での取り組みも重要視されていらっしゃるそうですね

例えば社員に匿名でアンケートを取ったところ、移動時間などのON/OFFの切り替えが無くなった事で、業務時間が長くなりがち、十分に休憩が取れてないという状況が分かりました。

これを解消するために、5月からWellness Day(全社オフ日)の導入や、リモートヨガの取り組み、Water Cooler(井戸端)の普及、オンラインでのコミュニケーションガイドラインの策定などを行いました。Water Coolerは雑談が生まれるような環境を目指したもので、ガイドラインは常に連絡が取れてしまう環境に歯止めをかけようというものです。

―――マネージャーの意識改革も重要なポイントだったと聞きました

前述のアンケートでは、在宅勤務のストレスについても聞いたのですが、実は多くの社員がストレスなく快適であると回答していました。中立~快適と答えた社員は実に8割にも上りました。一方でマネージャーの中には「メンバーは、在宅勤務を望ましくないと考えているのでは」と考えている人もいました。大きなギャップがあったのです。

在宅勤務に移行した早い段階でマネージャーへの「Flexible Training」を実施しました。これはバイアス(固定概念)を取る努力の一貫です。例えば、

・1 日に8時間は仕事をするべきだ
・会議なのだからカメラはオンにするべきだ
・重要なミーティングは顔を合わせてやるべきだ
・メールを送ったのに返事がこない。業務時間中なのだからすぐに返事をするべきだ
・きっと社員はオフィスでみんなと顔を合わせて業務をしたいと思っているはずだ

といった事です。少なからず誰もが自分の仕事に対する固定概念はあるわけですが、それが在宅勤務の運営に悪影響を与えないように、社員へのアンケートも利用しながら、自分たちのバイアスを取り除いて柔軟性を持つためのトレーニングをしていきました。

―――今後の課題はどういった点にあるでしょうか?

在宅勤務を円滑に進めるための取り組みはこれまでのところ出来ているのではないかと思いますが、これが継続すると社員同士の連帯感や帰属感は薄れていくように思います。それをどう防ぎながら、社員同士がより連携をしながら新しい価値を生み出す環境を作れるかが大きな課題ではないかと思っています。

Media Innovation Summit 2020のチケット等はこちらから

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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