9月25日に開催する半日間のオンラインカンファレンス「Publishing Innovation Summit 2020」では、世界の先進事例を元にパブリッシャーの未来について議論します。
アカマイ・テクノロジーズのテクニカル・ソリューション部 シニアソリューションズエンジニアの松野 憲彦氏からは「海外メディアの先進事例から学ぶデータ分析によるユーザー行動理解」と題して、テレグラフやワシントン・ポストなどが取り組んできたデータ分析とユーザー理解の取り組みについて解説します。松野氏に事前にお話を伺いました。
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メルボルン大学卒業。Dell EMC オーストラリア、IBM オーストラリアを経て、2015年にアカマイ・テクノロジーズ(同)に入社。シニア・ソリューション・エンジニアとして、メディア業界(ゲーム、動画、広告配信)を中心にお客様の技術的課題を解決する提案活動をしている。
―――テレグラフが利用しているのはどういったプロダクトなのでしょうか?
主に使われているのはリアルタイムでウェブのパフォーマンスを測定する「mPulse」と、最適な画像サイズを自動的に配信する「Image & Video Manager」というプロダクトです。
「mPulse」ではリアルタイムにユーザー行動をトラッキングすることで、ページのパフォーマンス(表示速度など)が、ユーザーのエンゲージメントにどのような影響を与えるかを可視化する事が出来ます。また、パフォーマンスに悪影響を与えている要素を、サードパーティ製のスクリプトなども含めて検知する事ができ、対処方法を決める手助けをします。
一方の「Image & Video Manager」は、特にパフォーマンスに大きな影響のある容量の大きな画像や動画を最適化し、複数のパターンを生成し、画面の解像度やネットワークの状況などに応じて配信をするためのものです。画像や動画はメディアで益々重要な要素になっていますが、パフォーマンスに与える影響も大きいため、その最適化は重要です。
―――パフォーマンスの向上はメディアにどの程度の影響を与えるものなのでしょうか?
テレグラフのケースでは、アカマイ製品の導入にあたって事前に実施したテストで、ページ読み込み時間が1秒追加される毎に、平均セッション時間は11.5%低下する事が分かりました。
また、その後に「Image & Video Manager」を導入してテストしたところ、テレグラフ全体が約20%軽量化しました。さらに29日間の測定で、ページの読み込み時間は9.6%減、平均セッション時間は2%増加しました。これによってユーザーあたり0.041ページを追加で閲覧するようになったということです。
例え0.041ページの改善であっても大規模なパブリッシャーでは大きな効果を生みます。以下はアカマイによる試算ですが、ページビューの増加による広告収益の増加は無視できないレベルと言えます。
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―――データはどのように活用すれば良いのでしょうか?
「mPulse」はユーザー行動の全てを可視化しようというプロダクトですが、そのデータは仮設を立てるのに使うものだと思っています。例えば、企業毎にKPIがあると思いますが、そのKPIに何を定めれば意味があるのかを探るのもデータの使い方かなと思います。
例えば、メディアでサブスクリプションを展開している場合だと、契約に至ったユーザーと、そうでないユーザーの行動の差分を見て、間で何が決定的な要素になっているかを明らかにして、それをKPIにする、というような考え方です。
アカマイとしてはサブスクリプションについてもパフォーマンスが大きな要素になっていると考えています。別業種のように見えるかもしれませんが、ECではパフォーマンスが売上に与える影響が明確に見えています。サブスクリプションも契約獲得という観点では同じ考え方が出来るのではないかと思います。
データを分析することによって、ユーザーの理解を促進していく、これがデータの使い方ではないでしょうか。
―――まずは何から始めれば良いでしょうか?
「mPulse」は独立したプロダクトなので、アカマイのCDNを利用していなくても利用ができます。アカマイに相談いただければ、まずは無料のパフォーマンス診断から始める事が出来ますので、ぜひご連絡ください。
グーグル検索でもパフォーマンスは重要な項目としてますます重視がされるようになっていて、アカマイとしては様々なプロダクトを通じて、インターネットのパフォーマンス向上に貢献していければと思っています。ぜひご気軽に相談いただければと思います。