メディアの強みを生かしたデータ取得・統合・活用に向き合う一年に、コズレ田中社長・・・メディア業界2021年の展望(8)

新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞きました。「メディア業界2021年の展望」全ての記事を読む。

株式会社コヅレは、子育ての様々な悩みを解決する子育てメディア「cozre」を運営。子供の月齢に合わせた情報提供や、20万件以上にもなる口コミコンテンツが人気です。そのコヅレの田中社長に、2020年の振り返りと、来年に向けた展望をお聞きしました。

田中 穣二郎
株式会社コズレ 代表取締役
2001年三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。関連証券会社にてIPO支援を経験。2005年(株)リクルートに入社。人材領域にてゼネラルマネージャーとして営業・商品開発に従事。2011年慶應大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)入学。仏Essec Business Schoolへ派遣留学。卒業後、(株)エス・エム・エスに入社。医療(病院)コンサルティング事業の新規立ち上げに従事。2013年株式会社トウキョウアイト(現株式会社コズレ)を設立。

2020年はメディア業界にとってどのような年だったでしょうか?

メディア業界が進みつつあった過去からの変革へのスピードが一気に加速され、メディア業界の悩みはより「具体的に深まった年」であったと考えています

新型コロナウイルスの影響で先が見えない状況の中、顧客課題の解決・価値創造など、広くメディア全体としてデジタル化の促進をより一層求められるようになっています。

また3rd Party Cookieの利用停止、iOS14によるターゲティング制限など、消費者のプライバシーを保護する各社の施策はますます強化される状況にあり、これらの施策は、メディアとしてのユーザーコミュニケーションのあり方からマネタイズに至るまでいよいよ具体的な影響を及ぼしつつあります。

一方、メディアのデジタル化を推進する上では、「デジタル化に向けた全社的意識改革」や「計画策定の難しさ」、更に「デジタル人材の確保と育成」といったさまざまな課題への対応が必要です。

そのような意味で、コロナという外部環境に大きな変化により、メディア業界では過去からの変革へのスピードが一気に加速され、戦略面だけではなく、技術・組織や人的リソースの確保・データ統合など、単なる不安から「具体的な悩み」へと変わった年であったと考えています。

その点に関しては、私が代表を務めるWEB/アプリ/データベースである「cozre(コズレ)」が向かい合う妊娠・子育て世代等ファミリーマーケット関連企業に関しても例外ではありませんでした。

「cozre(コズレ)」は年間2000万人のユーザーとの接点を持つメディアと、妊娠・子育て世帯75万世帯・170万人が登録するプラットフォームを組み合わせたサービスです。業界最高水準の CDP(カスタマーデータプラットフォーム:顧客IDを軸にさまざまなデータを統合管理するプラットフォーム)構築を目指しており、1st Party・Zero Party Dataとして取得する大量の妊娠・育児層のデータを活用し、ユーザーと長期に寄り添い最適なサービスを提供することを目標に取り組みを進めています。

実は、コロナ禍の本年6月以降ファミリー層をターゲットとする育児用品・教育・出版・印刷・金融・不動産などさまざまな業界から、妊娠・子育て世代にむけた新サービス開発・流通販売網の再構築(ECやOtoO)・マーケティングのDX化など多くの相談・協議が一気に寄せられるようになりました。

各社の関心の共通点は「大量のバーティカル1st Party・Zero Party Data」「実際のデータ活用方法(パーソナライズ)」の2点です。

一方、我々も他のメディア様と同様、人的リソースの不足を強く感じています。「デジタル人材の確保と育成」は一朝一夕に行うことは難しく、パートナーの企業様からは非常に良いテーマ・課題をいただきながらも選別しながら取り組みを進めていくことを余儀なくされている側面もあります。

これからのメディアに求められること、直面する課題はどういったことでしょうか?

これからはデータがメディアになる時代です(某上場企業経営者のお言葉ですが)。そしてそのデータというものは、よりユーザーひとりひとりと密接に(本人の同意もいただいた上で)取得し、丁寧に取り扱っていくべきものとなっていると感じています。

メディアの最大の強みの一つは、利用頂いたユーザーの「データ」を取得できる接点を持つことができることです。そしてそのメディアのデータは個々のメディアの特徴に応じ特徴があります。その特徴をいかに「市場」に結びつけるかが、今後のメディアのひとつ進む道となると考えています。

またニッチなユーザーが利用するメディアは特徴的なデータを独占的に取得することができます。そのため、サービスの構えによっては、データの切り口から大資本に対しても対抗できるようなイノベーションのジレンマを仕掛けることができる、という側面もあるかと考えています。

※メディアの方々と議論をしていると、この数年そのような仕掛けを行なっている方も非常に増えてきていると感じます。

またコロナはOMO(online merges with offline:「オンラインオフラインを飲み込む」)を加速させ、広告、店舗、商品やサービスそのものなどすべての顧客接点がネットにつながっていく環境に変化していきます。メディアにとっては紙でも地上波でもWEBでも、オンラインの中にオフラインでの行動が包括されていく流れから避けられないでしょう。

オフラインから得られる情報データ(例えば店頭や訪問など)まで統合することも長期的にメディアには求められていくことになるかと思います。

※メディアの流通との連携はコロナ禍でも拡大している印象です。

2021年に取り組みたいと考えていることはどういったことでしょうか?

メディアの強みを生かしたデータ取得・統合・活用に向き合うスタートの年としていきたいと考えています。

具体的には妊娠・育児領域での業界最高水準のCDPをonline / offline 両面のデータを統合しながら完成させていくことです。

我々が向き合っている日本の妊娠・子育て層のユーザーの皆さんはonline / offline のあらゆるチャネルで悩み・活動をしています(特にオンラインシフトは激しい部分がありますが)。そしてそれらを統合しながら、最大限CDPを活用し、近い将来、当たり前のように使われる新しいサービスを開発・提供していくスタートの年にしていきたいと考えています。

ありがとうございました。

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Manabu Tsuchimoto
Manabu Tsuchimoto
デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。

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