話題の音声SNS「Clubhouse」認知率は全体で2割弱、サービス内容に対して恥じらいや不安も

ここ数日、TwitterなどのSNS上で連日トレンド入りし、新サービスの流行に敏感なベンチャー事業者や著名人らが続々と配信を開始していることでも話題の音声SNS「Clubhouse」。ユーザーは「スピーカー」となって音声チャットができ、チャット部屋に「リスナー」として参加…

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話題の音声SNS「Clubhouse」認知率は全体で2割弱、サービス内容に対して恥じらいや不安も

ここ数日、TwitterなどのSNS上で連日トレンド入りし、新サービスの流行に敏感なベンチャー事業者や著名人らが続々と配信を開始していることでも話題の音声SNS「Clubhouse」。ユーザーは「スピーカー」となって音声チャットができ、チャット部屋に「リスナー」として参加し会話を聞いて楽しめることに加え、モデレーターから許可を受ければ会話に参加することも可能。最大の特徴は、会話の音声がアーカイブとして残らないため「その場限りの会話」が楽しめることです。現在は招待制オープンベータテスト中で、iOS用アプリのみが配信中、日本語非対応です。

この次世代音声SNSをどれほどの人が認知しているのかを、LINE株式会社が運営するリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」が調査(対象:全国15~59歳のLINEユーザー)し、結果を発表しました。

アプリの認知は全体の2割弱

1月30日時点でClubhouseを「知っている」と回答した人は全体の19%にとどまり、特に30代以上の年代で未だ認知度は低いことがうかがえます。また、現在Clubhouseでは利用者から招待されないと利用することができず、1人が招待できる人数は2人までと少ない(利用状況によって招待できる人数は増加する可能性がある)こともあり、「いま使っている」と答えた人は、「登録したが、招待待ち」の人を合わせても全体の2%とごく少数となっています。

サービス内容を確認し、「使ってみたい」人は2割強

次に、Clubhouseのサービス概要を確認してもらったうえで「利用してみたい」と回答した人は全体の22%、「使ってみたいと思わない」と回答した人は54%でした。特に10~20代の利用意向が比較的高いものの、全体としては必ずしも興味を引く内容とはいえないようです。

利用意向

「使ってみたい理由」として挙げられたのは、以下のような内容です。
・文字だけでは伝えられない感情を表現できるのはとても楽しそう(女性/20代)
・話題だし、どんなものか試してみたい 流行に乗遅れたくない(男性/30代)
・直接会って話すことが避けられる世の中で、文字だけでなく声で会話できるのはいいと思う(男性/10代)
・オフレコの話が聞ける(男性/40代)
・招待制ということで、治安がいいと思うから(男性/30代)
・自分の好きな著名人が利用しているため(女性/10代)
・自分の興味があったり、キッカケがあればと思った(女性/50代)

「招待制」「アーカイブが残らない」といった特徴や話題性が興味を喚起してるほか、コロナ禍で他人と話す機会が減少していることも影響しているようです。

一方、「使ってみたいと思わない理由」として挙げられたのは、以下のような内容です。
・音声でつぶやきたい内容が特になく、他人にオープンな状態で自分の声を聞かれるのはあまりいい気がしないから。(女性/30代)
・招待を転売してると聞いて、イメージが悪いから(男性/40代)
・音声で何かやりとりするのがあまり好きではない(男性/20代)
・Twitterもたまに見るだけで自分から発信する事があまりないので、音声版Twitterを使うとは思わないから(男性/40代)
・人と話すのが苦手なので躊躇いがある。今使っているTwitterだけで十分(女性/20代)
・サービス内容を見て、既存のSNSで充分だと思ったため(女性/30代)
・音声は恥ずかしい(男性/50代)
・プライバシーが心配だから(女性/10代)

音声でのやりとりへ好意的な感情を持っていない人や、プライバシーを心配する声が上がっています。

今回の調査によって、話題ばかりが急速に広がっている一方で、Clubhouseがまだ黎明期にあることはもちろん音声SNSへの拒否感も一定数あることが確認できました。Clubhouseは今後順調にユーザーを増やしていくことができるのでしょうか。

音声サービスへの期待とClubhouseが抱える不安

ClubhouseのようなSNSのみならず、ポッドキャスト(Apple Podcasts、Spotify等)やインターネットラジオ(radiko、ラジオクラウド等)、音声配信サービス(Radiotalk、voicy等)など、デジタル音声サービス市場は近年世界的に規模が拡大しています。Clubhouseが話題になることで、音声サービス自体にも注目が集まることが考えられます。

しかし、ClubhouseのようなSNSには、これまで他のSNSでも問題視されていた懸念点があります。若者はTwitterなどのSNSの利用割合が高く、上記の調査でもClubhouseの認知度や興味は若者の方が比較的高いこと分かりました。Clubhouseの「招待制」「アーカイブが残らない」という特徴によって、「FOMO(=Fears Of Missing Out:周りから取り残される不安・恐怖のこと)」が引き起こされ、若者の利用意向の高さに繋がっていると考えられます。うまく注目を集め、ユーザーを拡大するSNSマーケティングとして成功しているという声がある一方、いじめなどを助長するのではないかとも指摘されています。

利用規約やガイドラインの中で、差別や嫌がらせなどを禁止することなどが規定されていますが、「記録に残らない音声サービス」という特徴はそのままモデレーションの難しさにも繋がっていると言えます。SNSが以前から抱えるこういった問題点をなるべく回避することが、「次世代SNS」として普及するためには不可欠でしょう。

《Hideaki Taga》

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