IASが最新のアドベリフィケーション指標調査「メディアクオリティレポート」を発表、日本は各指標で世界最低レベル

インターネット広告計測などを手掛けるIntegral Ad Science(IAS)は、アドベリフィケーション指標調査の最新版 「メディアクオリティレポート 2020年下半期版」を公開しました。 今回の調査レポートでは、日本のデジタルメディアのパフォーマンスと品質を示すアドフラ…

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IASが最新のアドベリフィケーション指標調査「メディアクオリティレポート」を発表、日本は各指標で世界最低レベル

インターネット広告計測などを手掛けるIntegral Ad Science(IAS)は、アドベリフィケーション指標調査の最新版 「メディアクオリティレポート 2020年下半期版」を公開しました。

今回の調査レポートでは、日本のデジタルメディアのパフォーマンスと品質を示すアドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティの各指標を、端末(デスクトップ・モバイル・CTV)や環境(ウェブブラウザ・アプリ)、広告フォーマット(ディスプレイ・動画)別に、世界20カ国のデータとともに確認できます。対象国は、アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・スペイン・イタリア・スウェーデン・オーストラリア・ニュージーランド・日本・シンガポール・インド・インドネシア・メキシコに、アルゼンチン・ポーランド・ブラジル・ベルギー・ベトナムが加わりました。

アドフラウドは、世界的に低下傾向、日本は増加し世界最低レベル

世界のアドフラウド率が全体的に改善し、対策を施したインプレッションでは計測対象のすべての端末、環境と広告フォーマットでアドフラウドの平均率が1.0%以下に低下し、2018年以降で最も低い水準になった一方、日本とオーストラリアだけがアドフラウド率が上昇。日本では特にデスクトップとモバイル端末のウェブ(ブラウザ)環境で、ディスプレイ広告の対策済みインプレッションのアドフラウドが増加しました。特に、デスクトップ ディスプレイでのアドフラウド率は前年同期の2.6%からさらに悪化し2.9%となり、世界ワースト1となりました。モバイルウェブ ディスプレイでも前年同期1.9%から0.8ポイント上昇し、2.7%と世界で最も高いアドフラウド率でした。

対策未実施のデスクトップディスプレイ広告では、アドフラウド率は8.6%になり、アドベリフィケーションツール未導入のデジタルキャンペーンは、対策を実施したキャンペーンと比較し、最大で11倍のアドフラウドが発生する傾向があったといいます。

ディスプレイのブランドリスク日本はデスクトップ・モバイルともに最も高い増加率

日本は、モバイルウェブディスプレイのブランドリスクが2019年下半期の7.6%から2.8ポイント上昇し10.4%となり、世界で最も増加しました。グローバル平均値は5.8%で、前年同期比0.1ポイントの上昇でした。デスクトップ ディスプレイでも2019年下半期の3.2%から5.6%上昇し、イギリスに次いで2番目に高いリスク値でした。グローバル平均は4.4%でした。

2020年の新型コロナウイルス感染症がデジタルに与えた影響の一つが、動画広告におけるブランドリスクの世界的な上昇でした。自宅で過ごす時間の増加で動画視聴時間が伸びたことと、動画広告におけるブランドリスクの増加に相関関係が見られました。最大の要因はアダルトコンテンツで、ヘイトスピーチがこれに続きました。

ビューアビリティとタイムインビューで、日本は引き続き世界最低レベル

日本のデスクトップ ディスプレイにおけるビューアビリティは55.7%で、グローバル平均の68.8%を大きく下回りました。ビューアビリティが7割を超える国も多い中、日本は圧倒的に低い水準にあるといえます。モバイルウェブ ディスプレイでは日本の数値は2019年下半期の43.5%から46.4%に改善しましたが、グローバル平均の62.9%と比較すると大幅に低い水準となっています。50%を下回ったのは日本のみで、デスクトップ、モバイルともに日本のビューアビリティの低さが際立つ結果となりました。

日本のデスクトップ ディスプレイのタイムインビューは23.53秒で、前年同期の21.95秒から若干伸びました。モバイルウェブ ディスプレイは2019年下半期の16.6秒から14.72秒と、逆に短くなりました。これらはグローバルの平均値とほぼ同程度です。

日本は、各指標において非常に悪い成績を残してしまう結果となりました。4月には、アドフラウドやブランドセーフティなど、デジタル広告の抱えるテーマに取り組む「一般社団法人 デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)」が発足。今後の改善に広告業界全体で取り組んでいくことが期待されます。

【IAS 概要】
代表者:リサ・アッツシュナイダーCEO
所在地:95 Morton Street, 8th floor, New York, NY 10014
日本オフィス:〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井タワー12F
事業内容:デジタル広告の検証・不正対策・最適化のためのデータとソリューションの開発と提供

《Nakashima Takeharu》

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Nakashima Takeharu

「佐賀経済新聞」編集長。県内で開催のアジア最大級の熱気球大会では広報・メディア対応とネットコミュニケーションを担当。

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