New York Timesの社長兼最高経営責任者であるメレディス・コピット・レヴィアン氏が「Morgan Stanley Technology, Media & Telecom Conference」にて登壇し、新CEOレヴィアン氏が描くThe New York Timesのビジョンについて議論しています。動画で全編を視聴する事ができますが、興味深いポイントをご紹介したいと思います。

世界クラスのデジタル企業
[MMS_Paywall]
New York TimesのCEOであるレヴィアン氏によると、彼女の将来のビジョンは、New York Timesを世界クラスのデジタル企業として確立すること、業界のトップレベルの人材を引き続き引き寄せること、New York Timesのブランドおよび独立したジャーナリズムのより広範なエコシステムを促進することであると語りました。
ビジョンにテクノロジーの積極的な導入が含まれているのは、レヴィアン氏がNew York Timesのデジタル部門の再建に貢献した人物だからであるかもしれません。彼女のデータ、製品、テクノロジーへの取り組みは、今後の同社の数年間の動向を推測する上で大きな影響を持つことでしょう。
レヴィアン氏は、New York Timesを巨大デジタルメディアにするという目標の一環として、「我々の仕事のやり方を、変革をもたらすハイテク企業が行うように、運営方法を再構築したいです」と語り、「世界レベルの製品開発を行うための条件をいかにして整えるか、つまり製品のイノベーションをいかにして推進するかということが、ますます重要になってきています」とテクノロジー導入の重要性を指摘しました。
また、レヴィアン氏は、「COOとしての2年間の仕事の多くが、長年続いた部門間のサイロを破壊することでした。タイムズには、ジャーナリスト以外のどの部門よりも多くのエンジニアがいます。New York Timesの戦略は幅広く機能しているとし、ここから求められていく変化は、拡大です」と語りました。
彼女によれば、同社は2025年までに1,000万人のデジタル購読者を獲得することを長年の目標としており、その実現に向けて進んでいるとのこと。
「私たちは、より多くの人々の生活の中で役割を果たすために、そして、すでにブランドと関係を持っている人々がより大きな役割を果たすために、今も旅を続けています」
ビジネスモデルの転換
レヴィアン氏は、新CEOに抜擢された理由として、ほとんどが広告に依存していたビジネスを、ほとんどが購読料でまかなわれるようにしたことが評価されたとしました。
彼女は、製品とデータをより密接に統合するために、会社のビジネス構造を変革しました。また、同社の広告ビジネスを近代化し、従来の印刷広告よりも、スポンサーコンテンツなどのクリエイティブなデジタルソリューションに大きく依存するようにしました。
レヴィアン氏の信念
New York Timesは、トランプ大統領時代に何度も政治的な圧力をかけられていました。政権などからの政治的圧力に今後どのように対処するつもりかと聞かれたレヴィアン氏は「New York Timesは世界中で質の高い独立したジャーナリズムの原則を守ることにこれまでと同様に取り組んでいる」と答えました。
また、レヴィアン氏は「私たちは、信じられないほど偏った時代に生きています。そのような時代に私たちができる最も重要なことは、見たままの真実を報道し続け、真の好奇心と独立したジャーナリズムの精神をもってそれを行うことです」と語りました。
続けて「New York Timesができる最も重要なことは、そのための投資を続けることです。そして、恐れも好意もなく、独立して仕事をし続けることです。大統領が誰であろうと関係ありません。」と語っています。
New York Timesの新たな挑戦
レヴィアン氏は、New York Timesがより積極的に新たな分野へ挑戦することを期待しているといいます。特に、レヴィアン氏が現在注目している分野として、「オーディオは、私たちにとって非常に大きな重点分野であり、投資対象でもあります」と語りました。
実際に同社は昨年、大ヒットしたポッドキャスト番組 『Serial』 の制作会社であるSerial Productionsを買収。その後、複数のテレビや映画のプロジェクトにも投資しています。
New York Timesは新CEO主導のもと、一つの新聞社から世界レベルのデジタル企業へと変貌しつつあ