毎日新聞社などが出資する毎日みらい創造ラボとValuufyは、企業のサステナビリティへの取り組みを支援するサービスを提供するために戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。
本協業により、Valuufyが同志社大学社会価値研究センターでの10年間の研究を基盤として開発した「ValuuCompass(バリューコンパス)」と毎日新聞のメディアプラットフォームを組み合わせ、企業がサステナビリティ情報の公開や取り組みを単なるコンプライアンス義務ではなく、戦略的優位性を築くためのツールとして活用する道筋を創出していきます。
ValuuCompassは、45のグローバルフレームワークから1200以上のサステナビリティ指標を抽出し、7つの主要なステークホルダーにわたって実用的な洞察に変換するものです。非財務指標のための管理ツールとして機能し、組織が長期的な持続可能性を決定する非財務要因を把握・理解し、最適化することを可能にします。
この方法論は、近江商人によって実践されてきた「三方よし」という原則からインスピレーションを得ています。Valuufyは現代のビジネスが企業、従業員、顧客、ビジネスパートナー、株主、社会、自然という7つのステークホルダーにバランスの取れた価値を創造する必要性を認識し、「三方よし」の原則を「七方よし」へと拡張しました。
Valuufyのカイル・バーンズ氏代表取締役CEOは、「長寿企業に日本企業が多いのは偶然ではありません。それは世代を超えてすべてのステークホルダーのニーズのバランスを取ることから生まれています」と述べ、バランスの取れたアプローチがなぜそれほど効果的なのかを企業が理解するためのデータを提供すると説明しています。
多くのフレームワークは、環境的・社会的影響とビジネスの回復力や長期的成功を結びつけられていません。また、日本企業は「サステナビリティ2026問題」に直面しています。市場価値3兆円を超えるプライム市場企業は2027年3月までに包括的なサステナビリティ情報を開示する必要がありますが、多くの企業はこの要件を戦略的機会ではなくコストとして捉えています。
毎日みらい創造ラボの高塚保氏代表取締役社長は「毎日新聞グループは常に日本のビジネスと社会課題解決を結びつけるアイデアを支持してきました。この協業は過去の知恵と未来のニーズを結びつけることで、日本の伝統にさらに磨きをかけるものになると思います」と述べています。
両社は、サステナブルなビジネスモデルを体現する日本企業を調査し、サステナビリティと価値創造の未来について経営者や有識者との対話を特集していきます。毎日新聞グループの「週刊エコノミスト」は5月にValuufyを取り上げました。
今後は日本の伝統的なビジネス価値観が次世代のサステナビリティ思考とどのように結びついていくかを探求するコンテンツなども検討しているとのことです。日本企業が持つ長寿経営の知見を数値化し、ESG情報開示を戦略資産へと昇華させる取り組みは、今後の企業経営に影響を与える可能性があります。