クッキー規制などのプライバシー保護に関する意識調査・・・「顧客からの信頼」が最優先事項

クッキー規制などのプライバシー保護に関するブランド(広告主)とパブリッシャーの意識調査レポートを、パブリッシャー向けにファーストパーティーデータソリューションを提供する英Permutive発表しました。同レポートによると、ブランドの41%がサードパーティデータに頼っていること、ブランドとパブリッシャーともにユーザーからの信頼を最も重視していることなどが明らかになりました。

今回の調査は、調査会社の米FORRESTERがPermutiveから依頼を受け、ブランドとパブリッシャーの意思決定者を対象に2021年2月に実施されたもので、以下のような調査結果が発表されました。

調査結果

データの非推奨化は従来のマーケティング戦略を覆すが、チャンスでもある

ブランド:データの非推奨化(data deprecation:顧客データの使用を削減すること)が従来のマーケティング戦略を覆して混乱を招くのではないかと考え、次の事項を懸念しています。

・消費者の個人情報保護に関する法律が新たに制定されたり、規制が強化されたりするのではないか(ブランドの意思決定者の73%)
・消費者が広告ブロッカーを積極的に導入するのではないか(72%)
・消費者が自分のデータをマーケティングに使用することへの同意を拒否するのではないか(70%)

パブリッシャー:データの非推奨化を、ユーザーにより良いサービスを提供するためのチャンスと捉えています。

・プライバシー保護対策によって、より倫理的な新しいデータソースを求めているブランドとより緊密に連携できるようになると考える(パブリッシャーの意思決定者の約半数)
・自社のファーストパーティデータを収益化する機会になると考える(38%)

新戦略策定を阻む課題

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ブランド:データ不足に直面して戦略を転換しつつありますが、取り組むべきことはまだあるとのことです。現在のマーケティングキャンペーンの半数以上において、パブリッシャーのファーストパーティデータを使用していると回答したブランドは39%にとどまっています。39%に該当するブランドは、クッキーに依存した戦略から、より倫理的で持続可能なアプローチへの転換に向けて、重要なスタートを切っていると同レポートでは評価されています。

パブリッシャー:ユーザーのデータを活用したマーケティングの未来において、新たな戦略が重要な役割を果たすことを認識しているとのことです。しかし、プライバシー対策の強化により、消費者およびオーディエンスのデータソリューションを広告主に直接提供する際、次のような課題が生じるのではないかと考えています。

・コンプライアンスを確保するために追加の技術投資が必要となる(49%)
・広告主のために、効果的かつ倫理的な方法でオーディエンスのインサイトを導き出して活用する能力に影響を与える(38%)
・消費者データの利用やデータのマネタイズが制限される(38%)
・データを利用する際に承認や同意が必要となる(37%)
・データ収集やマネタイズビジネスを評価するために、法的リソースが必要となる(33%)

ブランドとパブリッシャーは、ファーストパーティデータを採用する初期段階にある

ブランド:パブリッシャーのファーストパーティデータは、ブランドにとってユーザーのインサイトを理解するための重要な情報源ですが、多くの取り組みはまだ初期段階にあるとのことです。

・ブランドの意思決定者の41%は、ターゲティングの際にサードパーティのデータにいまだ依存している
・パブリッシャーのファーストパーティデータをマーケティング戦略に活用しているブランドの意思決定者59%のうち、36%はまだ戦略の策定段階にあり、正式な戦略を策定しているのは23%にとどまっている

パブリッシャー:マネタイズ戦略を確立し、ブランドとのパートナーシップを通じて購読料や広告収入を補おうと多くのパブリッシャーが考えているようです。

・ファーストパーティデータのマネタイズ戦略を検討中または構想中である(47%)
・ファーストパーティデータのマネタイズ戦略を確立している(28%)
・ファーストパーティデータのマネタイズ戦略を実施している(20%)
・ファーストパーティデータのマネタイズ戦略を構築しておらず、その予定もない(5%)

オーディエンスのインサイトをフル活用する

ブランド:データ追跡を認証したユーザーのデータだけでは、ブランドが必要としているあらゆる種類のインサイトを得ることはできず、認証済みと未認証の両方のデータが必要であると考えているようです。ユーザーデータをマーケティングに活用する際、以下のような事項が課題であると回答しています。

・消費者の信頼と同意を得ること(38%)
・ターゲット層を理解するためのインサイトの確保(34%)
・パブリッシャーとの直接的な関係の構築(28%)
・プライバシーに関する要求への対応(27%)
・サードパーティデータへの依存度の低減(26%)

パブリッシャー:認証済みユーザーのデータの基盤を構築することには大きな意義がありますが、それらのデータに頼りすぎるべきではないとしています。今後1年間で認証済みユーザー数を増やすことをパブリッシャーは強く意識していますが、49%は認証データの増加が課題であると認識しています。

ブランドとパブリッシャーともに顧客からの信頼獲得を優先

ブランド:広告マーケティングにおける最優先事項について、以下のように回答しています。

・マーケティング効率の向上(36%)
・顧客信頼度の向上(36%)
・顧客満足度の向上 (33%)

パブリッシャー:同様に、購読者数増加やファーストパーティデータ戦略の構築といった従来の収益要因よりも、顧客満足度と信頼性の向上を優先しており、最優先事項について次のように回答しています。

・顧客満足度の向上(42%)
・顧客信頼度の向上 (42%)
・新規購読者数の増加(38%)

ブランドとパブリッシャーが提携してデータの減少に対処する必要がある

ブランド:一部のブランドは、ユーザーのデータやインサイトを得るためにパブリッシャーとの直接的な関係を増やしていることが、以下の調査結果から明らかになったということです。

・現在少なくとも1社のパブリッシャーと提携している(80%)
・1〜4社のパブリッシャーと提携している(32%)
・すでに5社以上のパブリッシャーと提携している(8%)

パブリッシャー:データマネタイズ戦略を構築し、購読者数を増やしてより多くのファーストパーティデータを得ようと試みているとのことです。これらの戦略は、匿名のファーストパーティデータソースを利用してより優れたオーディエンス主導のインサイトを構築し、ブランドとの関係を強化できるとされています。現在、ブランドとの直接的な関係を持つパブリッシャーの割合は次のとおりです。

・少なくとも1つのブランドと提携している(90%)
・ファーストパーティのオーディエンスデータを販売するため、5つ以上のブランドと提携している(60%)
・1〜4社のブランドと提携している(32%)

結論

フォレスターは同調査結果について、ブランドとパブリッシャーが直接的な関係を築くことで、より幅広いユーザーのインサイトと新たな収益機会を得て、データの減少に対処できるとしています。そして、具体的には以下の取り組みが必要であると結論づけました。

・プライバシー保護のための仕組みを設ける。ユーザーは、企業が自分のデータを収集して広告に利用していることを強く認識している。誠実さや透明性を意識し、ユーザーの需要に合った体験を提供する

・データ倫理に基づき提携する。ブランドは、確立されたプライバシー基準に準拠しながらユーザーに付加価値を与えているかどうかを判断する。パブリッシャーは、データを共有してユーザーの理解を深め、ブランドがユーザーの需要に基づいて適切なマーケティング判断を行えるようにする

・マーケティングのためのダイナミックなアプローチを開発する。ブランドは、ターゲティングや測定、メディアバイイングにおいてダイナミックなアプローチを用い、パブリッシャーとの直接的な関係を模索する必要がある

クッキー規制などで厳しい状況にあるブランドやパブリッシャーですが、今回の調査結果を参考に今後のマーケティング戦略を見直していく必要がありそ

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Yuka Hirose
Yuka Hirose
ライター・翻訳者。大学で工学を学び精密機器メーカーで勤務ののち、2020年に独立。群馬県出身。

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