11月30日、英国の競争・市場庁(CMA)は、メタ(旧フェイスブック)に対し、同社が昨年5月に買収したGIFアニメ検索プラットフォームGiphyの売却を指示しました。CMAは売却指示の理由を、本買収はディスプレイ広告市場におけるイノベーションを阻害するだけでなく、SNSプラットフォーム間の競争を低下させ、Facebookの支配力をさらに高めてしまうため、としています。
メタによるGiphy買収
GIFアニメーションを投稿したり、検索することができるプラットフォームを運営するGiphyは、2013年に設立されました。SNSにGIF画像を使う文化を広める役割を果たしてきた同社は、昨年5月メタ(当時はフェイスブック)によって4億ドルで買収され、主にInstagramへの統合が進められることとなりました。

当時、API経由で使用されたGIF画像の半数がFacebook経由のトラフィックと言われており、同SNSと非常に密接な関係がありました。
CMAが指摘する買収の問題点
[MMS_Paywall]
買収が成立し、メタ傘下となったGiphyですが、ここに来て英国の競争・市場庁(CMA)による売却指示がなされることとなりました。CMAは本買収について、以下の理由から、SNSプラットフォーム間における競争を低下させ、Facebookの支配力をより高めると結論付けました。
・メタがFacebook以外のSNSへGiphyのGIF画像へのアクセスを制限することで、既に大きな支配力を持つ同社サービスへのトラフィックをさらに増大させる
・メタがFacebook以外のSNSに対してGiphyへのアクセスに、ユーザーデータ提供などの条件を課す可能性がある
また、Giphyが提供していたディスプレイ広告サービスがフェイスブックのものと競合関係にあったことも指摘されています。同社は買収時にGiphyの広告サービスを終了させており、Facebookと競合するサービスを排除したことになります。
排除されたサービスでは、Giphyはブランド企業向けにGIFを使った広告サービスを提供することも計画されていました。こうしたことからCMAは、この買収はディスプレイ広告市場におけるイノベーションを阻害しているとの認識も持っていました。
こうした背景を考慮しつつ利害関係者と協議を行った結果、CMAはメタがGiphyを売却することでしか問題を解決することができないと結論付けました。
買収時に起こった罰金事件
本買収に関わるCMAとの問題はこれだけではありません。今年10月、CMAはメタ側に5050万ポンドの罰金を科しています。これは、買収の初期段階で課されるIEO(初期執行指令)の遵守状況の報告にてCMAの再三の警告に従わず、情報提供を怠ったことが原因です。警告に従わなかったのは意図的であるという認識をCMAは示しており、両者の間には深い溝ができていると言