【メディア企業徹底考察 #45】クックパッドが上場以来初の営業赤字、いよいよ大規模なリストラが必要か?

クックパッド株式会社が、上場以来初の営業赤字となりました。2021年12月期の売上高に当たる売上収益は前期比9.8%減の100億400万円、26億3,200万円の営業損失(前年同期は1億5,100万円の営業利益)を計上しました。クックパッドは2019年12月期に9億6,800万円の純損失を…

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クックパッド株式会社が、上場以来初の営業赤字となりました。2021年12月期の売上高に当たる売上収益は前期比9.8%減の100億400万円、26億3,200万円の営業損失(前年同期は1億5,100万円の営業利益)を計上しました。クックパッドは2019年12月期に9億6,800万円の純損失を計上し、上場以来初の赤字に陥りました。しかし、2021年12月期は本業での稼ぎである営業利益が出なかったことを示しており、事態は一層深刻です。

しかも2021年12月期は連結子会社CookpadTV株式会社の減損損失4億2,300万円を計上し、純損失は23億8,000万円となりました。2019年12月期と比較して損失額を大幅に膨らませています。

■クックパッド業績推移(単位:百万円)

決算短信より筆者作成
※営業利益の目盛は右軸

営業赤字に陥った要因は、主力の有料ユーザーによる収益が前期比5.2%減、広告収益が同26.2%減となったことで、販管費を吸収しきれなくなったことです。

決算短信より筆者作成

クックパッドは2014年1月にアメリカのレシピサービス運営会社ALL THE COOKS, LLCをアメリカの現地法人Cookpad Inc.を通じて孫会社化するなど、早い段階で海外展開をしていました。すでにロシア、レバノン、スペイン、インドネシア、イギリスに進出しています。

■クックパッド国内および海外子会社

有価証券報告書より抜粋

海外事業の売上高は事業別の「その他」に含まれます。2021年12月期は10億円を下回っており、収益性は芳しくありません。これまでは本業の国内事業で利益を出すことができていましたが、カバーしきれなくなりました。クックパッドは事業や人員の大規模な整理が必要となる可能性があります。

レシピ需要が増加する中での有料ユーザーの離反

クックパッドの苦境が際立つのは、新型コロナウイルスの巣ごもりの影響によってレシピ需要は高まる中で、有料ユーザー数を落としていることです。下のグラフはGoogleトレンドの2004年1月から2022年2月までの検索動向です。外出制限が厳しくなった2020年5月をピーク(100)として、2021年2月が97、2021年5月は99と高い数値を示しています。

■Googleトレンドによる「レシピ」の検索動向

この期間はレシピ特需とも言える状況でしたが、クックパッドの有料ユーザー数は大幅に減少しています。2021年は8.8%減の183万2,000人となりました。

■クックパッド有料ユーザー数推移(単位:万人)

決算説明資料より筆者作成

クックパッドの強力なライバルとなる企業がレシピ動画サービスkurashiruを運営するdely株式会社です。delyは2018年7月にヤフー株式会社(現:Zホールディングス株式会社)の株式保有割合が45.6%となって連結子会社化されています。実はこのdelyが絶好調です。

創立以来先行投資の赤字が続いていましたが、2021年3月期は19億4,800万円の純利益を出しました。

■dely純利益の推移(単位:百万円)

※決算公告より筆者作成

delyは2020年6月にInstagramのフォロワー数が300万を突破したと同時に、料理レシピ動画サービスの月間ユニークユーザー数、日本国内料理動画レシピアプリのダウンロード数が国内トップになったと発表しています。

国内のレシピ需要は増加し、競合が好調な中で業績及び有料ユーザー数を落としたクックパッドは、国内のシェアを失ったと考えるのが自然でしょう。クックパッドがシェアを失った要因は大きく2つあると考えられます。1つは「SEO×量」に頼るビジネスモデルに限界ができていること。もう1つはレシピ動画への参入が遅かったことです。


《不破聡》

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