ニュースレター業界最大手サブスタック、不況の影響で14%の人員削減を実施

クリエイター経済を襲う嵐は3ヵ月か?3年か?それとも危機をばねに更なる飛躍が見込めるか? 2017年に設立されたサンフランシスコのサブスタック(Substack)は、ニュースレター業界では最大手と目されており、ライターの購読料から収益をあげています。このプラットフォ…

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ニュースレター業界最大手サブスタック、不況の影響で14%の人員削減を実施

クリエイター経済を襲う嵐は3ヵ月か?3年か?それとも危機をばねに更なる飛躍が見込めるか?

2017年に設立されたサンフランシスコのサブスタック(Substack)は、ニュースレター業界では最大手と目されており、ライターの購読料から収益をあげています。このプラットフォームは、毎月約1200万人の読者を誇り、2021年11月に、有料購読者数が100万人を突破したSubstackの勢いは止まることなく、同年約900万ドルの収益を上げ、Andreessen Horowitz(a16z)から6,500万ドルを調達したばかりでした。

しかしながら、マクロ経済の見通しが不透明なことと、クリエイター経済への打撃が不可避だとして、CEOのクリス・ベストは、人事とライターのサポート業務を中心に、総勢90名のうち13名の従業員を解雇しました。また影響を受けた従業員とのミーティングを行った後、レイオフをメモでスタッフに伝え、それをTwitterに投稿しました。「今日がサブスタックで一番悲しい日だ」と彼は書いた。ベストはメモの中で、「我々の目標は、最も厳しい市場環境においてもサブスタックを強固なものにし、資金調達に頼ることなく、会社を長期的に成功させることだ。と伝えました。

サブスタック社は、ニュース記事、グラフィック・ノベル、書籍などを扱う既存の出版社に代わる独自の存在として書き手や出版社にアピールしています。作家が自分の作品から得る収益をより公平に分配出来るようニュースレターの購読者から作家に支払われる総収入の10パーセントを徴収し、支払い手数料3パーセントを徴収する仕組みです。このプラットフォームに数百万人のアクティブユーザーに50万人以上の購買者がお金を払っているイメージです。不況の中で大手の情報源と個人的に支持するジャーナリストとどちらが優先されるのかは、クリエイター経済全体の動向とも関連するでしょう。

ちなみに、ニュースレターの仕組みの欠点は、どこに良いコンテンツがあるかを見つけることでもあります。最も人気のあるニュースレターには、Heather Cox Richardson、Matt Taibbi、Bari Weiss、Noah Smith、Glenn Greenwald、Joseph Pompliano、Emily Osterが執筆しているものがあります。その他、Chuck Palahniuk、George Saunders、Salman Rushdieなどの著名な作家がこのプラットフォームで執筆しています。同社は、100万人以上の有料ニュースレター購読者がいるとしています。

New York Timesによると、同社は昨年に約900万ドルの収益を上げたにも関わらず、 「ここ数週間で、マクロ経済の見通しはますます不透明になっており、何年も続くかもしれない厳しい状況に備える必要に迫られたのは明らかです」と、CEOのベスト本人は、”我々のチームと財務計画を再集中させることで、我々のプラットフォームで自身のビジネスを構築している作家のための信頼できるパートナーであり続けながら、成長するビジネスから投資資金を調達することができます。”と極めて堅実な姿勢を取っています。

ともあれ、サブスタック社は昨年、6500万ドルの資金調達ラウンドを終え、同社を7億5000万ドルから10億ドルの間の時価総額で評価するものもあった。しかし、多くのメディア企業は、急激なインフレや株価の暴落、安全保障問題などで経済全般に緊張が走るなか、今後数ヵ月間に逆風が吹くことを予期しています。企業が資金節約のためにマーケティング予算を削減すれば、広告収入は減少し、消費者がニュースやエンターテインメントに費やすお金が減れば、加入者の解約が増える可能性があります。経営者は厳しい判断を迫られます。

《前田邦宏》

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前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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