クリックされるタイトルは「ポジティブよりネガティブ」・・・Upworthyのデータで学術的に証明

かつて新聞社の編集部では「If it bleeds, it leads(残酷な事件ほどトップニュースになる)」という言葉があって、不謹慎ながら悲惨な記事は、良いニュースに関する記事よりも新聞が売れるというジャーナリストの直感を言い表していました。では、現在のデジタルニュースの読者が記事をクリックする動機は何なのでしょうか?

実は、その疑問に答える研究成果が、Nature Human Behavio(u)r誌に掲載されました。タイトルは、Negativity drives online news consumptionネガティブがオンライン・ニュースの消費を促進する)というものです。この論文は、ソーシャルメディアの非常に豊富なデータセットによって、その効果を正確に定量化することができた貴重な事例です。これは、よく知られている現象ーニュース消費のみならずあらゆる情報探索行動に見られるネガティブへの偏向を基にした人間の行動ーそのものを明らかにした内容です。

この研究に参加したニューヨーク大学、ギーセン大学、チューリッヒ工科大学、ミュンヘン工科大学、カロリンスカ研究所の研究者は、感情的な言葉がニュース消費に与える因果関係を調べるため、Upworthy.comのニュース記事の3億7000万インプレッション以上を包含する10万5000以上のヘッドラインを約570万回クリックしたデータを分析しました。その結果、ポジティブな単語はネガティブな単語よりも若干多いものの、ニュースヘッドラインのネガティブな単語はクリック率を上げ、ポジティブな単語はクリック率を下げることがわかりました。平均的な長さのヘッドラインでは、ネガティブな単語が1つ増えるごとにクリックスルー率が2.3%増加しました。

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前田邦宏
前田邦宏
メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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