スマートニュース メディア研究所は、「スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP調査)」第2回の結果を公表しました。設問数が60以上にのぼる本調査のうち、今回は「ニュース回避傾向」について詳細な分析を行った結果を公開しています。調査は2025年1月16日に発送し、3月5日までの回収分2117人を有効回答としました。
日本のニュース回避傾向は世界平均を下回る
「頻繁に」もしくは「時々」ニュースを避ける「ニュース回避傾向」がある人は、全体の18%でした。オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所の2025年調査では、「あえてニュースを避けている」人の割合が40%にのぼり、日本の回避傾向は世界平均と比べると穏やかであることが確認されました。「たまにある」を含めると49%となり、半数近くが「ニュースを避けた」経験を持っています。

30代の回避傾向が最も高く、60代が最も低い
世代別にみると、「頻繁に」ニュースを避ける人の割合は、30代で最も高く、全体の6%にのぼりました。「頻繁に」「時々」をあわせた場合も、30代が最も高く22%でした。次いで70代以上の20%、40代の19%となり、ニュースを避ける割合が最も低いのは60代でした。60代は「頻繁に」1%、「時々」12%で、合計13%となっています。

回避理由のトップは「気持ちが暗くなる」
ニュースを避ける理由について尋ねたところ、「気持ちが暗くなる・気分が悪くなる」と回答した人が61%で最多で、2番目に多かったのは「関心の持てないニュースまで知りたくない」(30%)でした。
ほかに2割を超えた回答として、「刺激的で関心をあおるようなセンセーショナルな見出しが多すぎる」(27%)、「事件・犯罪のニュースが多すぎる」(25%)「テレビ番組やSNSのコメントをそのまま流用するなど、取材の手間をほとんどかけていない記事(いわゆるコタツ記事)が多い」(21%)が続きました。

ゴシップを含む芸能ニュースが最も回避されるジャンルと判明
避けたいニュースのジャンルについて全員に聞いたところ、「避けたいニュースはない」が最も多く47%でしたが、ジャンル別で「避けたい」割合が最も高かったのは、「芸能(有名人のゴシップ含む)」(22%)、次いで「戦争・紛争」(19%)、「感動を誘ったり、怒りをかき立てたりするニュース(エモいニュースなど)」(18%)でした。
一方、避けたい話題として、ローカル(地元情報・街の話題)を挙げた人は3%にすぎず、教育や文化(音楽・映画・美術・読書)、科学技術・サイエンスも3%台でした。

回避頻度と、避けたいジャンルに関連性
ニュース回避傾向がある人たちを「回避の頻度」でグループ分けして、回避したいニュースのジャンルごとに分析したところ、「頻繁に」回避している人の65%は「芸能」ニュースを避けており、45%は「感動を誘ったり、怒りをかき立てたりするニュース」を避けたいと思っていることが分かりました。
「たまに」ニュースを回避している人のグループは、上記2ジャンルはともに25%以下で、傾向が異なっていました。「経済・ビジネス」、「文化」、「教育」、「ローカル」といったジャンルについては、「頻繁に」ニュース回避するグループのほうが、「時々」「たまに」回避するグループよりも、回避する人の割合が少なくなっています。

スマートニュース メディア研究所フェロー(研究会メンバー)の藤村厚夫氏は、ニュース回避傾向について、「日本での回避傾向は比較的穏やかであることが、SMPP調査でも確認された」と結果を振り返っています。また、30代で回避傾向が最も強く、回避経験がない人が最多だったのは30歳未満、という結果について「この層へのアピールを不得意としてきた報道メディアにとって、重要な発見となるかもしれない」と分析しています。
今後は「ニュース回避傾向」のある人とない人が、どんなメディア(マスメディア、動画メディア、SNSなど)を使ってニュースに接触しているかという観点でも、回避現象をより深く分析していくとのことです。生活者のメディアとの向き合い方は変化し続けており、今後も調査結果を注視する必要がありそうです。