BuzzFeed Newsはなぜ撤退せざるを得なかったのか?【決算が読めるようになるノート】

本記事は決算が読めるようになるノートからの転載記事です。本サイトでは様々な企業の決算解説が月額980円で読み放題です。ぜひ登録を検討ください。 ヒント:BuzzFeed Newsが撤退せざるを得なくなった要因は以下の4点と考えられる。 (1) 流入経路依存 (2) ショート動画…

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BuzzFeed Newsはなぜ撤退せざるを得なかったのか?【決算が読めるようになるノート】

本記事は決算が読めるようになるノートからの転載記事です。本サイトでは様々な企業の決算解説が月額980円で読み放題です。ぜひ登録を検討ください。

ヒント:BuzzFeed Newsが撤退せざるを得なくなった要因は以下の4点と考えられる。
(1) 流入経路依存
(2) ショート動画へのトレンドの変化に対する打ち手の不足
(3) ●●を超えた●●の急速な増加
(4) ●●依存のビジネスモデル

先日、米国のBuzzFeedがニュースメディアの「BuzzFeed News」の撤退を発表しました。BuzzFeedは、日本ではヤフー株式会社と2015年に合弁会社を設立して日本でもBuzzFeed Japanとして事業展開している*ので、一度は見たことがある方も多いのではないでしょうか。

(*ヤフーとの資本提携は2022年5月に解消。同時に朝日放送グループホールディングスとバリューコマースと資本提携を発表。)

運営会社であるBuzzFeedは、2006年の設立からメディア企業として急速に成長し、2012年にはBuzzFeed Newsを立ち上げ、米国ではミレニアル、GenZ世代に最強のメディアと言われており、2022年4月時点で、グローバルで月間6.9億ユニークビジター、月間96億PV以上と発表されています。

本日は、そんなBuzzFeedが運営するBuzzFeed Newsの撤退を決断した4つの要因と、多くのメディア企業が苦戦する中で健闘している企業の特徴を解説します。

この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)として、日本円も併せて記載しています。

BuzzFeed Newsの撤退を発表

https://www.buzzfeednews.com/

BuzzFeed Newsは、世界のニュースやトレンド、政治、文化、科学、ビジネス、エンターテインメント、スポーツなどの幅広い分野を扱うニュースメディアで、米国や日本、欧州など世界各国で事業展開しています。

運営会社のBuzzFeedは、2014年にBuzzFeed Newsに対して独自の報道スタッフを投入するなど、本格的なニュースメディアとして事業を拡大し、2021年には米国の報道で最も権威があるピュリツァー賞の海外報道部門を受賞するなど、新興メディアながら高い評価を受けていました。

しかしながら、BuzzFeedはその後2020年にはオーストラリアと英国で事業を停止し、2022年末には従業員の12%(約180人)をレイオフするなど、現在も苦しい状況が続いています。

この従業員のレイオフに伴い、BuzzFeed Newsに独立した組織として資金提供し続けるのは困難であるという判断のもと、2023年4月20日に従業員宛にBuzzFeed Newsの撤退を発表しました。撤退後は2020年に買収した「HuffPost」にニュース部門を一本化する方針となっています。

BuzzFeed News撤退に関するCEOの言葉

ここで、CNNの記事から、BuzzFeed News撤退に関するCEOのJonah Peretti(ジョナ・ペレッティ)氏の見解を見てみましょう。

I made the decision to overinvest in BuzzFeed News because I love their work and mission so much.

This made me slow to accept that the big platforms wouldn’t provide the distribution or financial support required to support premium, free journalism purpose-built for social media.

引用:BuzzFeed News will shut down
日本語訳:私は、BuzzFeed Newsの仕事とミッションにとても愛着があったため、BuzzFeed Newsに過剰に投資するという決断をしてしまいました。

そのため、ソーシャルメディア向けに特化したプレミアムで無料のジャーナリズム(BuzzFeed Newsのこと)をサポートするために必要なコンテンツの配信や財政的支援を、大手プラットフォームが提供してくれないことを受け入れるのに遅れが生じました。

具体的には、BuzzFeed Newsは、TwitterやFacebook等の巨大なSNSからの流入によって急速に成長してきました。しかし、これらの巨大SNSがフィード投稿のロジックを変えたことで、BuzzFeed Newsへの流入が減少し、大きな影響を被りました。

また、ここ1-2年間はショート動画が急速に注目を集めたことで、SNS経由で他のサイトへ誘導する機会自体が減少しています。

以上のコメントから、(1)流入経路依存と、(2)ショート動画へのトレンドの変化に対する打ち手不足が撤退の要因として挙げられるでしょう。Jonah Peretti氏は上記にて、これらの状況を受け入れることが遅れ、過剰な投資をしてしまった、と述べています。

ここまで、BuzzFeed Newsの概要と撤退の2つの要因について解説しました。次章からは、BuzzFeed Newsの撤退の残り2つの要因と、多くのメディア企業が苦戦する中で健闘しているメディア企業とその特徴を解説します。

この記事は、広告・メディア事業に従事している方や、競争戦略に関心がある方に最適な内容になっています。


《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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