ロックダウンによるメディア視聴の急増と、課題となる操作の煩雑さ

現在家で過ごす時間がほとんどなのでメディアの視聴率が急増したのはごく自然なことでしょう。例えば英国では、コロナウイルスでのロックダウン以降、テレビの視聴は17%増加し長年の視聴率減少傾向が鈍化しました。

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ロックダウンによるメディア視聴の急増と、課題となる操作の煩雑さ

本記事はThe Conversationに掲載された、イギリスのUniversity of Huddersfieldでメディアコミュニケーションを専門とするCatherine Johnson教授による記事「TV viewing has surged during lockdown, but has become too technical for some – newresearch」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。

現在家で過ごす時間がほとんどなのでメディアの視聴率が急増したのはごく自然なことでしょう。例えば英国では、コロナウイルスでのロックダウン以降、テレビの視聴は17%増加し長年の視聴率減少傾向が鈍化しました。

皮肉なことに英国では政府が公共放送の未来についての最新の調査を開始した時期に、ニュースや娯楽、安全のために従来のサービスに依存するという状態になりました。ロックダウンが始まってから3週間で、BBCの視聴者数は23%増加し、その中でも民間プラットフォーム上での視聴者数はテレビ放送の3分の1以上でした。

ロックダウンが追い風になったのは放送局にだけではありません。Disneyの新しいストリーミングサービスであるDisney+は、世界中の主要な欧米市場で3月にサービスが開始され、4月上旬までに全世界の加入者数は約5,000万人まで倍増しました。また、毎朝午前9時にテレビで「非放送コンテンツ」は注目に値します。なぜなら、それは従来の一般的なコンテンツではなく、ジョーウィックスによる大成功した子供向けのYouTube動画といった新しく生まれたコンテンツに関係するものだからです。

劇場や映画館、美術館は閉鎖されているため、オンラインでの演劇やオペラ、バレエ、展示会の視聴に注目が集まっています。こうしたサービスにより、敷居の高かった上記のような文化体験を家で体験できるようになりました。

しかし、そのような生活を豊かにし、面白く、心地よくするサービスは、すべての人が利用できるわけではありません。英国には、ストリーミングサービスにアクセスするために必要な超高速ブロードバンド接続やデバイスのない家があります。Ofcomによると、英国の約53,000世帯が十分な固定ブロードバンドサービスまたは適切な4Gカバレッジにアクセスできていないと推定されています。

また、現在英国での超高速ブロードバンドのカバレッジは95%まで普及しましたが、2018年以前は超高速ブロードバンドにアクセスできる英国の家庭はたった57%のみでした。そして現在、成人の10人に8人はスマートフォンを所有していますが、ラップトップやタブレット、PCの2019年の世帯所有率はそれぞれ63%、54%、24%に減少しました。

こうした状態でも最新のテレビサービスにアクセスするために必要な技術やスキルは意外に重要視されていません。2019年9月、私たちは人口統計的な観点から年齢を配分した30人の参加者のデータを詳細に調査し、参加者が利用しているテレビやストリーミングコンテンツがどのように発見され、そしてアクセスされるのかを調査しました。


《The Conversation》

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