東京大学発のAIベンチャー企業TDAI Labは、画像の改ざんを高精度で検知できる新たな電子透かし技術を開発し、アルファ版をニュースメディアや公的機関、EC事業者向けに提供開始しました。
新技術は、ディープフェイクなどの高度な改ざんにも対応し、改ざん箇所の特定と可視化を可能にします。電子透かしは、デジタルコンテンツに対して目に見えない形で発行元や作成日時、来歴といった報情報を埋め込む技術です。
TDAI Labの新技術は、従来の電子透かしの課題であったトリミングなどによる画像処理による情報の消失を克服し、様々な改ざん手法に対して堅牢な性能を実現しました。
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本技術の特徴は、電子透かしが施された画像にディープフェイクなどの改ざんが行われた場合、剥がれた箇所から攻撃内容を特定し、改ざん位置を可視化できる点です。これにより、コンテンツの信頼性を担保しながら情報を共有することが可能になります。
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ニュースメディアや公的機関、EC事業者へのアルファ版の提供では、実運用に向けたフィードバックを得ることを目的としており、同時に技術を検証する企業パートナーも募集しています。
近年、生成AI技術の進化により、ネット上のコンテンツの信頼性が損なわれる事例が増加しています。ニュースや公式発表の改ざんによる、社会的混乱や偽情報の拡散は深刻な問題です。TDAI Labの新技術は、このような課題に対応し、様々な分野で信頼性と透明性の向上に寄与することを目指しています。
ニュースメディアや公的機関では、報道写真や公開資料に電子透かしを埋め込むことで、改ざんが疑われるコンテンツが広まった際に、攻撃内容や改ざん箇所を特定し、改ざん内容を明確化できます。
また、ECサイトの商品画像に電子透かしを埋め込むと、画像の無断使用や偽造品の販売を防ぎ、ブランドの信頼性を守ることができます。さらに、電子透かしは所有権の証拠となり、不正使用が発覚した場合の法的対処を強化できます。
TDAI Labは、2016年11月に創業した東京大学発のAIベンチャーです。次世代AIの基礎研究およびその事業化を行っており、同大学院にて博士課程を修了した福馬智生氏が代表取締役社長を務めています。
今回発表された新たな電子透かしは、デジタル社会における情報の信頼性と透明性の向上が期待される技術です。フェイクニュースや偽情報の拡散を抑制し、健全なオンライン環境の構築に貢献していくことが期待されます。