2021年1月、米Twitter社がオランダのニュースレター配信サービス「Revue」を買収したのを皮切りに、巨大プラットフォームが続々とニュースレター事業に注力しはじめています。SNSやプラットフォームを介さず、個人同士、個人と企業・団体が直接つながるメディアの形は、日本でどう花開き定着していくのでしょうか。最前線でニュースレター事業を展開する方々にお話を聞いていきます。
現在のニュースレターの盛り上がりに先駆けること1年、株式会社OutNowがローンチしたニュースレターサービス「theLetter」が、試験運用期間を経て誰でもすぐに使えるサービスに転換しました。Webとニュースレターの両方で書き手の思いを伝え、同時に継続的配信のための支援も手がける同社ですが、この1年間の変化や現状をどのように捉えているのでしょうか。また、ニュースレターの成功のために必要なこと、今後の可能性やマス化への道のりなどもお聞きしました。
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目次
必須機能・サービスを見極めた1年間のテスト運営期間
―――この度のオープン化で刷新された部分についてお聞かせください。
これまで利用を希望される方はウェイティングリストに名前を記載し、待っていただいたうえで弊社との打ち合わせが必要というハードルがありましたが、オープン後は誰もがサインアップでき、ニュースレターを始められるようになりました。これまで個別に行っていたご説明は、プロダクトからアクセスできるようになっています。
theLetterはリリースが1年前なので、日本においてのモダンなニュースレターサービスとしては最も早い立ち上げだったと思います。立ち上げ当初からサインアップすればすぐにニュースレターを始められる機能は整っていましたが、我々自ら手を動かしてマーケットや顧客を深く理解する必要がありました。
そのためあえてクローズドなβ版の時期を作り、いろんなタイプの書き手と関わって本当に必要な機能とサービスを見極めるため、1年を費やしていたという状況です。
―――1年でどのような気づきがありましたか?
一貫して感じていたのは、ツールを使って提供するだけでは、優位性も事例も作れないということです。なぜうまくいくのかを、事業者自身が深く理解する必要があることを、1年を通して考えていました。クリエイターエコノミーの会社に共通することかもしれません。
サポートも、求められたことにはすべて答えるという形で行ってきました。ベストな配信頻度やタイトルのつけ方などの質問に対応したり、我々からも書き手がコラボすると読者が増えるのでは、という仮説を立てて書き手に試してもらうなど、二人三脚で進めてきました。
コラボは、YouTubeのクロスプロモーションと同じように、お互いのファンに自分のニュースレターを知ってもらう場にもなります。テスト時期も後半になってくると、我々が仕掛けるというよりコミュニティのチャットで、書き手同士が繋がって新たな記事が出てきたという事例もありましたね。