Twitterが提供する音声ライブ配信機能「スペース(Spaces)」では、今月、iOS版とAndroid版の両方で、ライブ配信をホストする全ユーザーが会話内容を録音できるようになりました。その場限りの会話だったものを、ポッドキャストなどの音声コンテンツとして再利用できるようになり、インフルエンサーだけでなく企業にとっても活用の幅が広がったのです。
ハーバード大学のジャーナリズム研究機関「ニーマンラボ(Nieman Lab)」は、大手ニュースメディアがスペースを活用してユーザーとのエンゲージメントを高め、新たな戦略として打ち出している事例を紹介しています。
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Twitterユーザーはニュースへの関心が高い
Twitterは、音声ライブアプリというジャンルの火付け役となった「Cubhouse」が日本でも大きなトレンドとなる直前の2020年12月、スペースの最初のテストを開始。そして昨年5月、正式なプロダクトとして全てのユーザー(600人以上のフォロワーが必要)に公開しました。
スペースでは、ホストとなるユーザーがスピーカーとなり、ほかのユーザーはリスナーとして参加することになります。そして、ホストはリスナーのなかから任意のユーザーを選んでスピーカーとして登壇させることもできます。ポッドキャストなどの一方向的なコミュニケーションではなく、インタラクティブな交流が可能というわけです。
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Twitterの米国ニュースパートナーシップの責任者であるエリック・ザッカーマン氏は、Twitterを利用するニュースメディアに対し、スペースを利用することを促してきたといいます。彼は、スペースのようなソーシャルオーディオは、「ニュースルームやジャーナリストにとって、世界で起きていることや取材中のストーリーについて、視聴者とオープンで本物の会話をする機会になる」と述べています。
昨年9月、米ピュー研究所(Pew Research Center)が発表した調査結果によれば、ユーザーの55%が「Twitterでニュースを入手している」と回答しており、ソーシャルメディアの中では最も高い割合となっています。ニュースメディアにとって、ニュースへの関心が高いユーザーからの質問を受け付けたり、記事のフィードバックを得たりすることは大きな価値があると言えるでしょう。
また、Nieman Labの記事では次のような事例を紹介しています。「フェイスブック社が社名を変更しようとしている」というニュースが流れた際、著名なテックジャーナリストであるカーラ・スウィッシャー氏とケイシー・ニュートン氏は、新しい社名はどうなるのか、社名変更にはどのような意図が隠れているのか、といったことをスペースで活発に議論しました。スペースでは、実際には記事には乗らないような、推測の域を出ないものやジャーナリストの知見を自由に共有することができるため、議論は「より楽しいもの」になったといいます。