ライブ配信サービス「ふわっち」を運営する株式会社jig.jpが2022年11月17日に上場承認され、12月22日グロース市場に新規上場します。
jigの事業は大きく2つに分けられます。「ふわっち」を主力としたBtoC事業と、プログラミング専用こどもパソコン「IchigoJam」を自治体などに提供するBtoB事業です。
■jigの事業内容
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しかし、BtoB事業は2022年3月期の販売高が4,500万円(構成比率0.5%)ほどしかありません。会社の成長は「ふわっち」が担っています。
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この分野で競合するサービスがモイ株式会社の「ツイキャス」。両社のサービス内容は極めてよく似ています。両社を比較すると、「ふわっち」の方が成長性が高いと考えられる要因がいくつか浮かび上がってきます。
目次
高収益体質のANYCOLORと同じビジネスを展開できるか?
jigの設立は2003年5月。2004年10月携帯電話向けブラウザ「jigブラウザ」、2010年5月携帯電話向けTwitterクライアント「jigtwi」、2014年4月プログラミング専用こどもパソコン「IchigoJam」、2014年6月行政向けオープンデータ化支援サービス「オープンデータプラットフォーム」など、様々なサービスを提供してきました。
2015年9月にリリースした「ふわっち」のリリースで潮目が変わります。
ライブ配信分野は、「YouTube」「ニコニコ生放送」などの大手動画配信プラットフォーム、先行してライブ配信特化型サービスを開始していた「ツイキャス」「SHOWROOM」「17Live」、後発組の「Pococha」など、競争の激しい領域。「ふわっち」は匿名で投稿できることや、投げ銭のほかにランキング報酬が設けられているために配信者から「手軽に稼げるサービス」という認知を獲得し、レッドオーシャン化したマーケットで生き残りました。
2022年3月期の売上高は89億8,400万円。先行してサービスを開始していた「ツイキャス」のモイをすでに上回っています。
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2023年3月期の売上高は前期比13.5%増の101億9,800万円を予想しています。モイに先駆けて100億円の大台にのせる公算が高まりました。
jigは2022年3月期に2億5,300万円の経常損失(前年同期は6,600万円の経常利益)を計上していますが、2023年3月期は9億2,100万円の経常利益を予想しています。
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予想通りに着地すると、jigの経常利益率は9.0%。一方、モイの経常利益率は3.7%です。売上高の成長スピードと利益面でjigがやや上回っています。
2社の業績に大きく影響しているのが、有料ユーザー数とユーザー単価でしょう。「ふわっち」は「ツイキャス」よりも有料ユーザー数が少ないものの、単価が圧倒的に高いという特徴があります。