「単一ブランドの時代は終わった」――元WSJ・WP編集長が語る、メディアの未来戦略

・メディア業界は変革を迎え、課題が増加中
・AI活用が業務効率とコンテンツ制作に鍵
・多様なブランド展開が成功の要因とされる

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DIGIDAY PUBLISHING SUMMIT 2025で講演するマーカス・ブラウクリ氏 撮影: 三浦晃一
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メディアにとって簡単ではない時代に、メディアに特化して投資を行う投資家は何を考えているのか? 『ウォール・ストリート・ジャーナル』や『ワシントン・ポスト』の編集長を歴任したスター編集者でありながら、現在はNorth Base Mediaの共同創業者でパートナーとして投資を行うマーカス・ブラウクリ氏に、メディア業界の現状と未来について聞きました。

North Base Mediaは台湾のThe News Lens(TNL)の初期投資家でした。TNLは日本のメディアジーンと経営統合し、TNLメディアジーンとなりましたが、同社がナスダックに上場する際には、ブラウクリ氏が会長を務めていたSPAC(特別買収目的会社)のBlue Ocean Acquisition Corp.との合併という形を取りました。ブラウクリ氏はTNLメディアジーンの取締役も務めています。

(写真: 三浦晃一)

――― メディア業界は現在、どのような課題に直面していますか?

最大の課題は「メディアとは何か」を定義することです。Facebookをメディアと考えるなら、彼らは素晴らしい成果を上げています。しかし、一方で深刻な課題に直面している形態もあります。

例えば、新聞業界は世界中のほとんどの地域で苦戦しています。私がワシントン・ポストに着任したとき、記者たちは25年か30年前と同じ方法でジャーナリズムを行っていました。当時はワシントンでの独占的な地域新聞社として莫大な収益を上げており、人々は日中に読むものが他になかったため、地域の学校についての記事などに多くのリソースを投入していました。

しかし、私が着任した頃には状況は一変していました。インターネットは大きな存在となり、人々は常に携帯電話でコンテンツを読むようになっていました。もはや学校に関する記事を読む人はいなくなっていたのです。多くの伝統的なメディア企業は、この変化への対応が非常に遅れていました。

――― デジタル時代のメディアビジネスの展望をどうお考えですか?

過去20年間効果的だった方法が、未来では必ずしもうまくいくとは限りません。今でも多くのメディアは、人々が自社のウェブサイトに来ることを期待していますが、それは成功につながらないでしょう。

これからの人々は、スマートフォンやソーシャルメディアのプラットフォームでメディアを消費します。さらに重要なのは、AIやアグリゲーターによって再処理された情報を読むようになることです。これにより、メディアのビジネスモデルは大きな課題に直面することになります。

古いモデルは単純でした。新聞社やテレビ局は、独占か寡占の状態にあり、市場を完全に支配するか、1、2社と共有していました。過去20年は、大きな読者層と魅力的なコンテンツがあれば、広告収入や購読収入を得ることができました。しかし、次のモデルは不透明です。


《Manabu Tsuchimoto》

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デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの事業統括やM&Aなど。メディアについて語りたい方、相談事など気軽にメッセージください。

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