中日新聞社は、3月20日から23日にかけて、AIアナウンサーによる地域ニュース配信の実証実験を行います。この取り組みは、東海地方のケーブルテレビ12社の統括運営会社コミュニティネットワークセンター(CNCiI)およびケーブルテレビ事業を手掛けるスターキャットと連携して実施されるものです。
実験では、中日新聞社が取材し記事化した地域ニュースを、CNCiIのシステムを活用してAIアナウンサーが読み上げる動画に編集します。作成したニュース動画は、スターキャットの番組内やYouTube公式チャンネル内、中日新聞社が運営する地域情報アプリ「Lorcle(ローク)」アプリ内で公開されます。

実在の女性をモデルにしたAIアナウンサーは、内容に合わせた口の動きや手振りなども付加され、滑らかな発音で文章を読み上げることが可能です。動画は、複数枚の写真を適宜表示させ、テレビニュース感覚で視聴できるように仕上げられています。
今回の取り組みの背景には、若年層を中心に活字媒体やテレビ番組での地域情報接触が減少している一方で、信頼性の低い情報に惑わされるリスクが問題化していることがあります。新聞社などが発信する信頼性の高い細やかな地域情報を、新たな形で届けることで、人々の地域への関心を高めることを目指す試みとなります。
3社は視聴状況など実証実験の結果を踏まえて、今後の事業化を判断する予定です。なお、この実験で使用されるAIアナウンサーは、いわゆる「生成AI」とは異なり、機械自身が学習してオリジナルの新しいコンテンツを生み出すものではありません。
本取り組みは、新聞社とケーブルテレビ事業者が連携する全国的にも例のない試みとなります。得られた実験結果は、身近な情報を多様な見せ方で届ける手法の研究に生かしていくとのことです。