質の高さが明暗を分ける―フォーエムと電通デジタルが語る、生き残るメディアの条件とは【Media Innovation Conference 2025】

・質の高いユーザー獲得が広告成功の鍵
・適切なメディア選定がブランド価値向上に寄与
・データクリーンルームで新たな収益モデル構築

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質の高さが明暗を分ける―フォーエムと電通デジタルが語る、生き残るメディアの条件とは【Media Innovation Conference 2025】
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1月29日に開催した「Media Innovation Conference 2025」にて、株式会社フォーエムの代表取締役である綿本和真氏によるセッション「パブリッシャーが持つ広告価値 -事例から学ぶ協業の可能性-」が行われました。

セッションは、電通デジタルのDentsu Digital Global Centerでデジタルメディアプランナーを務める岩澤早紀氏をゲストに迎えて行われました。岩澤氏は、2024年11月に新しくリリースされた大手電機メーカーとの新商品のプロモーションを、フォーエムと共に取り組みました。その結果、垂直立ち上げ期にプロダクトの認知を拡大しつつ、質の高いユーザーを取り込むことができたとのことです。セッションでは、その事例を通してフォーエムの強みが分析されました。

プロダクトと親和性の高いメディアへの出稿で良質なユーザーを獲得

そのプロダクトでは、ユーザーを闇雲に獲得するのではなく、親和性の高いメディアで広告展開をすることで質の高いユーザーを誘引し、ブランディングの醸成も行うという戦略が打ち出されました。ここでいう「質の高さ」とは、「ユーザーがWebサイトに流入した際、離脱せずに閲覧し、その後も広告経由ではなくプロダクト名で検索して再訪問するなど、実際の行動に繋がること」と定義しました。

フォーエム綿本氏(左)、電通デジタル岩澤氏

フォーエムのハイインパクトなフォーマットでしっかりアテンションを取りつつ、プロダクトと親和性の高いメディアを厳選して広告を掲載することでその目論見は功を奏します。他媒体と比較した結果、検索リフト率は308%、訪問率は143%、直帰率は91%という結果になりました。訪問率が高く直帰率が低いということは、サイトを訪れたユーザーがしっかり回遊していることを意味します。

岩澤氏は上記の成功を受けて、これからの広告市場はユーザーにリーチする際にコスト抑制ばかりを考えるのではなく、多少コストがかかってでも購買につながりやすい質の高いユーザーに、いかに適切なアプローチをしていくかを考える時代になるのではないか、個人的にもそういう意識がスタンダードなものになっていってほしいと語りました。

メディアの質と価値を高めることが、広告主のブランドセーフティにつながる

岩澤氏は「(そうした時代に向けて)今メディアができることは」という質問に対しては、「誤クリックを誘発するようなユーザービリティが低い状態は避けてほしい」とコメント。代理店側の視点としては、担当するプロダクトと親和性の高いメディアを選定したいので、その決め手となるような情報を積極的に共有してほしいとしました。

また、日本市場の運用型広告は、米市場と比較してPMP(Private Market Place)が極端に少ないという現状があります。その背景として「とにかくコストを抑えたい」という短絡的な発想があるのではないかと岩澤氏は指摘。中・長期的な視点で良質なコンテンツを発信し、メディアの価値や、ユーザーの質を高めることでブランドセーフティの観点でも広告主から選ばれやすい出稿先になると続けました。

また、代理店も変わる必要があると指摘し、代理店プランナーはいかに親和性の高いユーザーにリーチするか、質の高いメディアに出稿してクライアントのブランド価値を守るかをより深く考えていく必要があるとコメント。広告主、代理店、メディアでディスカッションを重ねてお互いのメリットや強みを共有することで、新たな形の市場が醸成されるようになってほしいと語りました。

フォーエムのソリューションでデータクリーンルームとSNSでのマネタイズを活用

最後に、綿本氏からフォーエムの新しい取り組みが二つ紹介されました。一つ目はデータクリーンルームです。プライバシー保護の観点から世界的にCookieを廃止する動きが進んでおり、日本のメディアはメガプラットフォームにデータ量で遅れを取りがちです。データクリーンルームは広告プラットフォーム事業者が提供する安全なクラウド環境で、企業同士が顧客や購買に関するデータをプライバシーを確保した形で連携・分析できるソリューションです。

綿本氏は「欧米ではデータの集約が非常に大きなムーブメントとなっており、フォーエムは同じことを日本で実現したい。データクリーンルーム活用を通して、メディアに対してより高単価なPMPを紹介することでマネタイズを支援していく」としました。

二つ目の取り組みはSNSのマネタイズです。メディアはSNSのアカウントを集客に使っている例が多く見られます。フォーエムのネットワークに参画することで、マネタイズが可能になります。2024年秋のソリューションローンチから3カ月ほどで、約50件の支援実績ができているとのことです。

講演アーカイブ

Media Innovationの会員の方は以下の講演アーカイブにアクセス可能です。


《蚩尤》

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