ランサーズ株式会社(CEO:秋好陽介氏)は5月14日、2025年3月期の決算説明会を開催し、AIを活用した新たな事業戦略「日本産業をAXでアップデート」を発表しました。同社は従来のクラウドソーシングやオンラインマッチングの枠を超え、AI時代に対応した新たなサービス展開を進めていくことを明らかにしました。
2025年3月期の業績は、売上高45.9億円、営業利益1.1億円と、前年比で回復基調となりました。特に後半から新規領域が立ち上がり、V字回復を実現。「AIを社内で活用することで1人あたりの生産性が向上し、営業利益も順調に立ち上がった」と会社は説明しています。
今回発表された新戦略は、大きく3つの柱で構成されています。第一に「AXの基盤強化」として、「ランサーズAI大学」を設立。同社に登録する300万人のプロフェッショナルに対し、AI教育を提供し、修了者には認定バッジを付与するとともに案件獲得支援も行います。受講料は有料となりますが、AI実装スキルを身につけたフリーランサーの育成と案件獲得をサポートする新たな収益モデルとなります。
第二の柱は「AIエージェントサービス」の展開です。本日より提供開始される「ランサーズラクアポAI」は、営業活動を自動化するAIエージェントサービス。企業ごとのオリジナルリードデータベースを構築し、AIが自動的にフォーム営業や電話営業を行い、人間では対応できない部分のみ人間が対応するハイブリッド型のサービスです。テスト導入企業では「自社でアウトバウンド営業するよりも時間が短縮され、成果も2倍になった」という実績も出ているとのこと。今後も「ジムインAI」など管理系業務を自動化するAIエージェントサービスを続々と展開する予定です。
第三の柱は「AXのコンサル機能強化」です。「ランサーズ・ストラテジック・コンサルティング」という戦略子会社を設立し、大手戦略ファーム出身者を採用。大企業向けにAI時代を前提とした戦略策定から実装までを支援します。今後1年で人員を5倍に拡大する計画です。
業績面では、2025年3月期の営業利益目標を2億円(前期比約2倍)とし、中期経営目標として営業利益10億円、さらにその先の20億円を目指すとしています。また、株主還元として2円の期末配当を予定しており、今後も安定的・継続的な株主還元を実施していく方針です。
ランサーズでは「AIというテクノロジーを最大限生かしながら、引き続き個のエンパワーメントを実現していく。300万人のプロフェッショナルとAIという武器を使って、大企業から中小企業、個人事業主に向けてAXを提供し、日本の産業を大きくアップデートすることに全力で取り組む」と述べています。