朝日新聞社のグループ企業である株式会社朝日新聞メディアプロダクションは、株式会社岐阜新聞社が発行する岐阜新聞のフィーチャー面(特集面)の編集業務を受託し、1月5日から編集を始めました。
今回の業務提携は、デジタル分野の強化を図る岐阜新聞社と、紙面編集業務の可能性を広げようとする朝日新聞メディアプロダクションとの協議によって実現しました。両社は、紙面編集の品質維持・向上を図り、より柔軟で持続可能な編集体制の構築を目指していくとしています。
デジタル強化と編集体制の最適化
岐阜新聞社は今後一層の強化を図るデジタル分野に人的リソースを再配置する方針を打ち出しています。一方で、紙面編集の品質を維持・向上させる必要があることから、外部の専門企業への業務委託という選択肢を検討してきました。朝日新聞メディアプロダクションは、朝日新聞社で培った編集ノウハウと技術力を持つ企業として、この要請に応える形となりました。
朝日新聞メディアプロダクションにとって、地方新聞社から紙面編集業務を受託するのは今回が初めてです。これまで朝日新聞社内の編集業務を中心に手がけてきた同社が、外部の地方紙の編集を担うことは、新聞業界における編集業務の新たなモデルケースとなる可能性があります。
リモート編集による新しい業務形態
今回の業務提携で注目されるのは、その編集体制です。朝日新聞メディアプロダクションは、日々の紙面計画について岐阜新聞社からメールで連絡を受け、東京からリモートで岐阜新聞社の組版端末に入って編集を行います。物理的な距離を超えて、リアルタイムで編集作業を進める体制は、デジタル技術の進展によって可能になった新しい働き方と言えます。
この方式により、岐阜新聞社は現地での編集人員を削減しつつ、専門性の高い編集サービスを受けることができます。一方、朝日新聞メディアプロダクションは、東京を拠点としながら地方紙の編集業務に参画することで、業務領域を拡大できるメリットがあります。
地方紙が直面する構造的課題
地方新聞社の多くは、発行部数の減少と広告収入の低迷という二重の課題に直面しています。同時に、デジタルメディアへの対応も急務となっており、限られた人材をどう配置するかが経営上の重要な判断となっています。岐阜新聞社の今回の決断は、こうした地方紙共通の課題に対する一つの解決策を示すものです。
紙面編集業務を外部委託することで、社内の人材をデジタル分野に集中投下できる体制を整えることができます。これは単なるコスト削減ではなく、変化する読者ニーズに対応するための戦略的な人材再配置と位置づけられます。
編集業務受託ビジネスの可能性
朝日新聞メディアプロダクションにとって、今回の受託は新たなビジネスモデルの構築につながる可能性があります。全国の地方紙が同様の課題を抱える中、編集業務の受託サービスは一定の需要が見込まれます。朝日新聞社で培った編集技術とノウハウを、グループ外の新聞社に提供することで、新たな収益源を確保できる可能性があります。
また、リモート編集という業務形態は、編集者の働き方にも変化をもたらします。地理的な制約を受けずに複数の媒体の編集に携わることができるため、編集者のキャリアパスや業務の多様性も広がることが期待されます。



