大日本印刷は2026年8月26日、オーストリア上場企業AUSTRIACARD HOLDINGS AGを対象に実施していた株式公開買付け(TOB)について、当初公開買付期間が同月21日(ウィーン時間)に終了し、成立の前提条件である応募比率75%以上を満たしたと発表しました。応募株式数は35,099,096株、応募比率は約96.55%に達しています。
オーストリアにおける外資規制のクリアランスを除き、ギリシャ・ルーマニアの外資規制およびオーストリア・ドイツ・トルコの競争法クリアランスは既に取得済みで、残るクリアランスが得られ次第、TOBは正式に成立する見通しです。詳細は大日本印刷が開示した公開買付け結果に関するお知らせで確認できます。
AUSTRIACARDはウィーンに本社を置き、ウィーン証券取引所とユーロネクスト・アテネ証券取引所に上場する企業で、欧州・アフリカ・北米を中心に決済ICカード、国民IDソリューション、バリアブルセキュリティ印刷の各事業を展開しています。
売上高は約360百万ユーロ、営業利益は約30百万ユーロ
AUSTRIACARDの2025年12月期の連結売上高は360.2百万ユーロ、連結営業利益は29.7百万ユーロ、親会社株主に帰属する当期純利益は14.7百万ユーロでした。前期比では売上高が32.1百万ユーロ、営業利益が4.4百万ユーロ、純利益が4.3百万ユーロそれぞれ減少しています。連結総資産は327.8百万ユーロ、連結純資産は135.9百万ユーロです。
TOB価格は1株当たり10.0ユーロ(配当込み)です。全36,353,868株を取得した場合の株式価値は約364百万ユーロ(約677億円)と見込まれていました。今回の当初公開買付期間に応募された35,099,096株に対応する取得価額は約351百万ユーロ(約652億円)で、円換算には1ユーロ=185.66円の2026年7月平均TTMレートを用いています。
買い手である大日本印刷の2026年3月期連結売上高は1兆5,125億円、営業利益は1,010億円です。応募株式に対応する取得価額約652億円は、同社の年間連結売上高のおよそ4.3%に相当します。大日本印刷の連結財務ハイライトでは、2026年3月期の売上高や利益の詳細を確認できます。
スクイーズアウトで完全子会社化へ
大日本印刷は今回の応募比率がオーストリア法上のスクイーズアウト決議要件である90.00%を上回ったことを踏まえ、本外資規制クリアランスの取得を前提に、対象者株主総会での決議を経てスクイーズアウト手続きを進め、AUSTRIACARD株式の全てを取得する方針です。
この手続きが実施された場合、AUSTRIACARD株式は両証券取引所の上場廃止基準に従い上場廃止となる見通しで、最終的には大日本印刷の100%連結子会社となります。当初公開買付期間の終了に伴い、残存株主への売却機会を確保するため、2026年8月26日から11月26日まで3か月間の追加公開買付期間も設定されています。
決済ICカードやID関連ソリューション、セキュリティ印刷は、大日本印刷が長年手掛けてきたカード・セキュリティ関連事業と重なる領域です。今回の買収により、欧州・アフリカ・北米市場での事業基盤や顧客基盤を取り込む形となり、グローバル展開における足場の一つになるとみられます。
業績への影響は軽微と見込む
大日本印刷は、AUSTRIACARDの取得完了時期について2027年3月期第2四半期中を見込んでおり、本公開買付けおよび子会社異動が同期の連結業績に与える影響は軽微になると説明しています。今後、外資規制クリアランスの取得やスクイーズアウト手続きの進捗など、開示すべき事項が生じた場合には速やかに公表するとしています。

