ブロードメディアは2026年10月29日、株式会社NSSK-EPSILON1が実施する公開買付け(TOB)に賛同し、株主に応募を推奨する旨を取締役会で決議したと発表しました。
NSSK-EPSILON1は日本産業推進機構(NSSK)グループが管理する投資ファンドの完全子会社で、買付価格は1株2500円、買付期間は2026年10月30日から12月14日までです。本取引が完了すると、ブロードメディアは東京証券取引所スタンダード市場での上場を廃止し、非公開化される見込みです。
公開買付者は買付予定数の下限を471万8100株(所有割合66.20%)に設定しており、下限に満たない場合は応募株式の買付けを行いません。上限は設けておらず、株式の全取得による完全子会社化を目指す方針です。買収資金は三井住友銀行とみずほ銀行からの借入れと、公開買付者親会社からの出資で賄う予定です(TDNet開示資料)。
今回のTOBに先立ち、公開買付者は筆頭株主であるAVI(アセット・バリュー・インベスターズ)が運用に関わるAVI Japan Opportunity Trustなどの投資法人3者と応募契約を締結しています。これらの投資法人が保有する株式285万1053株(所有割合40.00%)は、全て本公開買付けに応募することで合意済みです(TDNet開示資料)。
事業ポートフォリオの再編を先行して推進
ブロードメディアは1996年の設立以来、放送、通信衛星サービス、教育、CDN事業など幅広い事業を展開してきましたが、近年は経営資源を成長領域に集中させる方針のもと、事業の選別を進めてきました。
2024年11月から12月にかけては「クランクイン!」関連事業を譲渡し、メディアコンテンツセグメントを終了。2026年3月には釣りビジョンの全株式を譲渡し、放送セグメントも2026年3月期をもって終了させています。
こうした再編を経て、現在のグループは教育、技術、スタジオ・プロダクション、その他の4セグメントで構成されています。教育セグメントでは、オンライン高校「ルネサンス高校グループ」や日本語教育に加え、子会社の株式会社divを通じたプログラミングスクール「テックキャンプ」の運営から、生成AIの普及を背景とした個人向け「テックキャンプAIカレッジ」や法人向けAI研修・活用支援サービスへと事業の重心を移しつつあります。
技術セグメントでは、CDN事業者アカマイ・テクノロジーズの国内正規代理店として配信・セキュリティーサービスを提供するほか、システムデザイン開発などを通じた企業向けシステム開発・保守運用も手がけています。
スタジオ・プロダクションセグメントは、海外映像コンテンツの字幕・吹替制作や多言語翻訳を担っており、2026年4月にはスタジオ・プロダクション部門を分社化するなど、事業単位での機動的な運営体制づくりも進めてきました。
非上場化で機動的な経営を志向
開示によれば、同社グループを取り巻く教育関連市場は、GIGAスクール構想の進展により学校現場のICT活用が本格化し、AIリテラシー教育やリスキリング・リカレント教育への関心が高まっている局面にあります。
同社は、生成AIの急速な普及を背景に個人・法人向けのAI教育需要を捉えた事業転換を進めてきました。今回の非公開化については、成長領域への投資判断や事業再編を機動的に進めるための経営体制づくりと説明しています。
本公開買付けが成立し、株式の全取得に至らなかった場合には、株式併合などによるスクイーズアウト手続きを通じて完全子会社化を進める予定です。買付代理人は大和証券が務めます。

