株式会社岩手日報社(盛岡市)は岩手県、県内93の新聞販売店で構成する岩手日報会(従業員約2000人)と2026年11月5日、大規模災害時の支援物資輸送に関する協定を締結します。締結式は世界津波の日でもあるこの日、岩手県庁で行われる予定です。
東日本大震災で被災した岩手県は、近年の大規模地震で課題となっている支援物資の「目詰まり」解消を目指し、県内最大級の新聞輸送・配達インフラを防災ネットワークへ転用する取り組みを始めます。岩手県の面積は1万5275平方キロメートルで、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の4都県合計を上回る広さがあり、災害時には物流の寸断と情報の錯綜が同時に起こるリスクが指摘されています。
協定の特徴は3点あります。1つ目は緊急物資と新聞や号外などの情報を同時に届ける「情報併送型ロジスティクス」で、物理的不安と心理的不安の両方を軽減する狙いです。
2つ目は、新聞休刊日を除き毎日稼働する県内19コースの輸送トラック19台と93の販売店、約2000人のスタッフを活用した「ラストワンマイル」配送です。3つ目は既存の朝刊定期便の空きスペースや帰り便を活用することで、新たな物流拠点や整備費を必要としない持続可能なモデルだという点です。

役割分担としては、岩手県が物資の調達や輸送要請を担い、岩手日報社が輸送トラックの空きスペースを使った混載輸送と情報発信を行います。岩手日報会は93の販売店を物資の中継拠点として提供し、地域の道路事情に詳しい販売店スタッフが避難所や孤立集落へのラストワンマイル配送を担います。ただし販売店スタッフ自身も被災する可能性があるため、安全確認と本業を優先する「ベストエフォート」の範囲での活動となります。
本年は岩手県政150年および岩手日報創刊150年の節目にあたり、東日本大震災の教訓を踏まえた地域防災力の強化策として位置づけられています。



