インフルエンサーマーケティングに必要なのはファン作り・・・日本と中国での方法を議論

1月31日に株式会社メディアインキュベートが開催したセミナー「WEBメディア関係者・マーケター向けデジタルナイト」。その第2部では、第1部で登壇した番匠氏と中村氏に加え、タレントの育成支援なども行う杉村侑大氏が参加。朝日新聞運営のWebサイト「Withnews」の編…

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1月31日に株式会社メディアインキュベートが開催したセミナー「WEBメディア関係者・マーケター向けデジタルナイト」。その第2部では、第1部で登壇した番匠氏と中村氏に加え、タレントの育成支援なども行う杉村侑大氏が参加。朝日新聞運営のWebサイト「Withnews」の編集長・奥山晶二郎氏がモデレーターとなって「日中におけるインフルエンサーマーケティングとWEBメディア」をテーマにしたトークセッションが行われました。第1部の講演内容はこちらの記事をご覧ください。

奥山:私が記事を書くときはいつも、どのような方々にどのくらいの規模で届けるべきなのかというのをよく悩みます。インフルエンサーマーケティングにおいて、届けたいユーザーの「質」と「量」の両方を達成することはできるでしょうか?

杉村:まず「質」の定義ですが、たとえばある人に関して「この人はこういう人だよね」とひと言でそのストーリーを伝えられる人が「(ユーザーとして)質が高い」と言えるのではと思います。しかし、そういう人は特定の領域に偏って(存在して)いるので、そこを狙うと「量」は稼ぎづらくなりますね。

質と量の両方を実現するには、まず質が高い人に届け、そこから量を重ねていくしかないと思います。量だけを優先して――たとえば、500万人のフォロワーを持つ人を起用したからといって、それだけでインフルエンサーマーケティングがうまくいくかと言われれば、それはナンセンスです。

フリーランスとしてインフルエンサーマーケティングやタレント育成支援などに携わる杉村侑大氏

奥山:担当者レベルで効果を実感できていても、即座に決算やKPIにそれが出るわけではないと思います。とはいえ、目に見えた効果がないとベタっとした施策に落ち着いてしまいそうに思えますが、そういうときにはどのように理論武装されますか?

杉山:今はまだ、どうロジックを組み立てておくかは難しい問題で、確たる答えはないと言えます。そういう意味では上層部との戦いになることもあるでしょう。インフルエンサーマーケティングをどれだけ理解してもらえるか、自分の中で言語化しておくのが大切です。

奥山:なるほど……。それでは次の議題です。弊社では中華圏からの訪日客に向けたWebサイト「潮日本」を運営していますが。そこではアニメ、くまモン、グルメといった話題の記事がよく読まれます。中国の富裕層とそうではない人との間で、関心を集めやすい日本の話題に違いはあるでしょうか?

番匠:読者が富裕層かそうでないかには、あまり関係性はないと思っています。純粋に、日本のコンテンツに興味あるかないかのみですね。中国においては、そもそも日本のコンテンツそのものがニッチで、一番関心を集めるのは韓国のコンテンツです。次いで欧米、日本はその次ですね。そうした日本のコンテンツの中で関心を集めやすいものは、アニメ、キャラクターもの、漫画あたりとなります。

奥山:日本の話題を紹介する際に気を付けるべき点はありますか?

番匠:中国のインフルエンサーは個人ではなくメディアによるアカウントも多く、日本で放送されたものは違法だろうがお構いなしにすぐWebに流してしまう傾向があります。日本で放送された1時間後には、字幕での翻訳がついてWebに流れていますよ。ですので、

情報にはあまり価値はありません。明暗を分けるのは、日本、あるいは中国でいかに人気のある人を起用するかだと思います。記事そのものの価値は低いです。

奥山:「Tik Tok」はフォロワーが少ない人でも必ず一定数のユーザーに動画を発信できる仕組みが人気の秘密だと言われています。日本と中国で「Tik Tok」の使われ方の違いや、活用する際に注意すべきことはありますか?

モデレーターを務めた「Withnews」の編集長・奥山昌二郎氏

番匠:インフルエンサーマーケティングにおいては、「ドウインにはあってTik Tokにはない機能」がたくさんあることを知っておくのがよいと思います。たとえば「ドウイン」は100万人以上のフォロワーがいるユーザーは1分間の動画を配信できるようになります。さらに、「淘宝(タオバオ)」というオークション/ショッピングサイトに誘導できるようになっているので、動画で紹介したものをスムーズに買ってもらえる。さらに生配信にも対応している。つまり、インフルエンサーがそこだけでマネタイズできる体制になっているんです。

中村:すいません、僕からも質問よいでしょうか? 昨今「Tik
Tok」を通じて人を採用するという話をよく聞きますが、これはどう思われますか?

番匠:これは中国に限らず日本でも同じだと思いますが、企業などがインフルエンサーを採用するという話でしたら「ドウインで人気を得ているユーザーや、その所属事務所に声をかける」というのが有効な手段だと思います。「ドウイン」のユーザー数は伸び続けているので、この傾向はまだ続くと思います。

第1部に引き続き登壇した番匠氏(写真左)

奥村:次は、いわゆる”炎上”について。意図せぬ形での情報拡散をしてしまったあとの収束のさせ方はどのようにすべきでしょうか?

中村:まず前提として、Facebookでは基本的に炎上は起きません。これはtoBインフルエンサーの強みでもあります。経営者同士ですからね。僕がアドバイスしている先ではInstagramやTwitterで炎上を起こしてしまうこともあります。それをうまく収めた一例としては「徹夜で一人ひとりに懇切丁寧に説明する」というものがありました。そうしたら「深夜にここまで丁寧に対応してくれるとは」と、逆にファンになってくれた方もいたそうです。

杉村:よくないパターンは、炎上を気にせず放置してしまうことですね。納得がいかないユーザーたちのストレスレベルが一定値を超えると「謝りすらしないのか」と暴動のように不満が吹き上がってしまいます。まずはトラブルが起きていることを認識していると告知する。その後、どう対応するかを真摯に伝えるのが一番です。ここでウソをまぜたりする企業があったりしますが、それも悪手です。不満を抱いているユーザーたちは、そこをとてもよく見ています。

奥村:番匠さん、中国では炎上が起きてしまったときはどのように対処されるものですか?

番匠:ここに関しては、日本と中国で違いはあまりなく、真摯に謝罪するのが一番です。ただ、基本的には事前に決めたルール通りやっていればプロモーション案件で炎上することはほぼありません。ただ、企業側が無理難題な修正など過剰な要求をすると、得てしてトラブルにつながりがちです。ファンたちから「この配信動画、いつもと全然違うよね」とコメントがついて、そこから炎上につながっていくことはあります。起きたあとの対処法ではないですが、事前にしっかりルールを決め、それを逸脱しないことが大切です。

奥山:それでは最後の議題です。SNSは変化が激しく、「Vine」や「Snapchat」など、これまでも多くのサービスが登場しました。特定のプラットフォームに依存しない長期的な戦略を展開するために必要なことはなんでしょうか?

中村:僕が実践しているのは「オンラインとオフライン、両方を大切にする」ということです。オンラインではFacebookのほか、Instagramとはてなブログ、noteを利用していますが、オンラインでつながりができた人たちとは、リアルでも必ず会います。そうして自分とのつながりを濃くしておく。

第1部に引き続き登壇した中村氏(写真左)

番匠:中国はすべてのプラットフォームに特有のルールがあり、適宜それが変わり続けています。中国に進出するときは、中国専門の企業に依頼すれば大きなリスクは避けられます。あとは、ファンをきちんと作っていくことですね。中国現地のインフルエンサーを採用するのもいいですが、今は在日中国人が85万人くらいいます。そうした方たちのことも視野に入れて、どうやって好きになってもらうかを考えて、人同士のつながりを作っていくことです。そうすればプラットフォームの変更があったとしても柔軟に対応、展開できます。

杉村:中村さんがおっしゃられたことがすべてだと思います。自分が何者なのかをありとあらゆるプラットフォームで伝えていく。そうすれば、どのプラットフォームが消えてもその情報は残ります。プラットフォームの流行り・廃りは手段に関わるものでしかありません。売り出したいもののストーリーをどうデザインしていくかが一番大事だと思います。

奥村:ありがとうございました。

《蚩尤》

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