2019年10月29日、Facebook Japanは、同社が提供する写真投稿/共有サービス「Instagram」の現況や今後の展望、ビジネスにおける活用法などを提示するBtoBセッション「Instagram Day Tokyo 2019」を開催しました。本稿では、同セッションでFacebook Japan、インフルエンサー、代理店などがさまざまな立ち位置や視点から提示したInstagramの強みや活用法を紹介します。

Facebook Japanのクライアントソリューション マネージャー リードの丸山祐子氏は、「Instagramにまつわる3つの”あるある”」と題して、Instagramで自社のブランディングをする際に知っておくのが望ましいナレッジや最新事例を紹介しました。

ひとつ目の”あるある”は「Instagramでブランディングをしてもリーチが小さいのでは」という疑問への解答です。丸山氏は、Instagramは他のプラットフォームと比べるとリーチコストが最大で60%も少なく済むと紹介。その理由は、マンスリーアクティブアカウントが年々非常に大きくなっていることで、CPMを大きくおさえられるようになっていること、Facebookと同じ広告配信システムを用いていることで、ユーザーを人ベースで捉えられるので効率よくリーチできることにあるとしました。

ふたつ目は「オーガニックマーケティングをもう行っているなら、SNSであるInstagramで同じことをする必要はないのでは」というもの。丸山氏はこれに対しては、オーガニックだけでターゲットにリーチできる数は限界があり、最大化を図るには広告と適宜使い分ける必要がある。それが両方できるのがInstagramであると強調しました。

そしてみっつ目に、ニーズに応えて進化を続けるInstagramの最新事情として、ブランディングする際に有効な直近アップデート情報が紹介されました。ひとつは、ストーリーズ広告でアンケート機能が利用可能になったこと。ユーザーに認知してもらいつつ、インタラクティブに質問を投げかけることで高い広告効果を望めます。そしてふたつ目として、著名人やクリエイターが自分のアカウントで投稿したコラボコンテンツを広告主が広告としてプロモできるブランドコンテンツ機能が挙げられました。丸山氏はこれにより「企業の視点ではなく、かつ透明性の高い広告を届けられます」とまとめました。

Instagramとのシームレスな連携機能を搭載したシェアラブルスマートフォンGalaxy S10を2019年5月にリリースしたサムスン電子からは、マーケティンググループプロフェッショナルの萩原秦邦氏が登壇しました。

萩原氏は、同社がInstagramを高く評価し、Galaxy S10で連携した最新のモードを採用した理由について、今は強い影響力を持つ媒体がTVメディアからデジタル(SNSやインターネット)に移行しており、その流れは今後も続くと判断したこと、スマートフォンを始めて購入する世代でもある18歳~34歳をターゲットとしたとき、確実にリーチできるのがInstagramであること、そしてInstagramの、フルスクリーンのビジュアルで直観的に伝えたい内容を届けられるフォーマットが非常に優れたものであることが語られました。

具体的な活用法としては、新製品が発表されるタイミングにおいて、YouTubeなどのリーチ媒体と併用することでより多くのリーチを狙えること、スマートフォンはひとつの機種を数年にわたって使うユーザーが多いだけに、継続的にコミュニケーションを図れることが挙げられ「こうしたメリットを鑑みると、最終的には(コストが)リーズナブルにまとまるという肌感覚があります」とまとめました。

Facebook Japanクリエイティブストラテジストの栗山修伍氏は、パフォーマンスを最大化する広告クリエイティブについて言及。クリエイティブのトレンドは現在縦型に移行しつつあり、スマートフォンをずっと縦持ちしているユーザーは全体の9割近くに達し、さらに横型の動画を見るときでも縦持ちのままで見るユーザーも82.5%におよぶというデータが紹介されました。

さらに、ストーリーズで広告を配信する際の3つのポイントとして、以下が挙げられました。

ルック&フィール:視聴者の目を引く仕掛けを作り、動画の1秒目から惹きつけること。美しく、ひと言で伝えること。洗練されたメッセージにしないと印象に残らず、何も覚えてもらえない。

ブランドと製品:ブランド名は最初に出した方が認知されやすい。また、人にフォーカスした広告はブランド認知効果が、製品にフォーカスした広告は広告効果が上がりやすい。

フォーマットの活用:静止画と動画をミックスした広告は、そうでない広告より効果が上がりやすい。アンケート機能など、最新の機能を積極的に取り入れて”遊ぶ”のも大切

栗山氏は最後に「広告クリエイティブのトレンドは縦型へ移行しています。広告配信の際は、ぜひ縦型を視野に入れてください」とあらためて強調しました。

続いては、「ゆうこす」の名で知られる人気インフルエンサーの菅本裕子氏が登壇し、Instagramを活用する際に心がけていることが紹介されました。2017年の流行語大賞にもなった「インスタ映え」になぞらえて、写真が「タグ映え」しているかいつも気を付けていると語る菅本氏は「自分が情報を届けたい層が、今何を検索しているか。どういうタグを追っているか。それを常に考え、そのタグに映える(よくマッチする)写真を撮ることにこだわり続けています」と語りました。

Instagramでは現在「いいね!」の非表示化が検討されていることも踏まえ、自分の投稿がリーチできているかの指標は保存(ブックマーク)されているか、コメントがどれくらいついているかで判断。保存率を上げる方法論として、リップを紹介する投稿であれば、写真の1枚目を縫っている動画にして続きが見たくなるよう誘導、そして2枚目には他のリップとの比較画像を置くなど、いかに気を惹くか、そしていかに有用な情報を届けるかに苦心しているとのことです。

広告主とのパートナーシップについて思うことを尋ねられると「いつも、本当に好きなものを自分らしく届けたいと思っています」と語り、投稿前に打ち合わせを提案することもあると言及。投稿の頻度や文章量、生配信の頻度などで、自分が本当に(その対象を)好きであるという熱量も届けられるようにしていると語りました。

菅本氏と共に登壇したサイバーエージェント インターネット広告本部の羽片一人氏はその言葉に大きく共感し「インフルエンサーマーケティングはリーチだけを考えてはいけない。その人の言葉だからこそユーザーが動いてくれるので、熱意が伝わっているかを図るのも重要なポイント。何をもって(そのインフルエンサーが)よかったかを評価するのは今も難しいところだが、広告は投資であればこそ、(依頼したインフルエンサーの)フォロワー数をそのままKPIとして捉えるのではなく、保存数などの実利を追っていくことが必要」としました。

さらに、ブランドコンテンツ広告について「日本人は口コミが好きな方が多いので、人から勧められたものは広告効果が高くなりやすい。今は個人がメディアになる時代なので、今後もインフルエンサーのみなさんと共にやっていきたい」と語り、意欲を見せました。

最後に登壇したFacebook Japan営業本部長の日下部大氏は、ダイレクトレスポンス目的の活用方法として、グリーによる住まいと暮らしのメディアアプリ「LIMIA」が、一つひとつの記事を製品に見立ててダイナミック広告を実施したことでアプリのインストールを促進させた事例を紹介。「ダイナミック広告はeコマースだけのものではありません」と語りました。

また、これまではメーカーが広告を出稿するのはTVやデジタルが主で、それより下位のファネルでは小売りやオンラインショップが出稿する形が多く、ファネルごとに広告の出稿主が分断されていましたが、ブランドコンテンツ広告機能を活用すれば出稿主をメーカーに統一することができ、選択肢が広がることを強調しました。

そして最後は、エン・ジャパンのデジタルプロダクト開発本部プロモーション部部長・田中奏真氏とのディスカッションが行われました。同社が運営するサービス「エン転職」で日々さまざまな求人・転職情報を扱う田中氏は、広告のデザインが少し異なるだけでもコンバージョンが10%近く変わりうることがあると言及。アパレルの販売スタッフ募集の広告を上げ、ベースを同じくする広告でも、コンバージョンは(スライドで)一番左のデザインが一番よかったと具体例を挙げました。

さらに、球場での求人情報なら、球場の写真を大きくデザインしてビジュアルだけですぐに何の求人であるのかという情報が伝わるコンテンツを作ることが肝要であると述べ、「届ける情報は同じでも、表現次第で結果(コンバージョン)は変わります。ユーザーがInstagramを見るのは、ほとんどがポジティブなときか、ポジティブになりたいとき。それを踏まえて、コンテンツも楽しさを押し出してインパクトを与えられるようにしています」と語りました。

また、求人という性質ゆえに募集期間の終了、定員の達成などで広告の差し替えが頻繁に発生するとのことですが、「(Instagramでの広告展開は)コストに見合った効果が出ています」と語り、デザインのブラッシュアップも含めコンテンツを大量生産していくことの大切さを説きました。