報道の自由度ランキング、日本は67位で前年より1つ下に・・・中国の強まるメディア規制も指摘

仏パリに本拠を置く国境なき記者団(RSF)は、世界の報道の自由度に関する調査結果を毎年発表しており、180の国と地域について、2021年の報告書を発表しました。日本は前年から順位を一つ下げて67位という結果になっています。

北欧諸国が上位を占める

今回発表された報道の自由度は、スコアによって以下の5つに分類されています。

・白:良い
・黄:どちらかといえば良い
・オレンジ:問題がある
・赤:悪い
・黒:非常に悪い

各分類の割合

1位は5年連続でノルウェーで、2位はフィンランド、3位はスウェーデン、4位はデンマークと、北欧諸国が4位までを占めています。日本は前年から順位を一つ下げて67位で、「問題がある」に分類され、G7のなかでは最下位でした。また、中国は前年と同じ177位で、「非常に悪い」に分類されます。

日本メディアにおける慣習と経済的利益の影響

同報告書では日本の結果について、以下のように指摘されています。

[MMS_Paywall]

・2020年9月から首相を務める菅氏は、報道の自由を巡る環境改善に何も取り組んでいない
・世界第3位の経済大国である日本は、メディアの自由と多元主義の原則を尊重している。しかし、慣習や経済的利益の影響を受け、ジャーナリストが権力監視機関としての役割を果たすことが困難になっている
・2012年の総選挙でナショナリストの右派が政権を取って以来、ジャーナリストは不信感を訴えてきた
記者クラブの制度は、フリーランスや外国人ジャーナリストを差別し続けている
・政府に批判的なジャーナリストや、福島第一原子力発電所事故や沖縄の米軍駐留などのテーマを扱うジャーナリストが、SNS上で攻撃されている
・内部告発者やジャーナリスト、ブロガーなどが「違法に」入手した情報を公開したと判断した場合、最高で10年の懲役を科すことができる「特定秘密」の保護に関する法律についての議論を、政府が拒否し続けている

中国におけるメディア規制強化

また、同報告書では中国の結果について、以下のように指摘しました。

・習近平国家主席は、新たなテクノロジーの利用に頼ることで、新型コロナウイルスの発生以降、ニュースや情報に対する締め付けをさらに強化した。情報の制御とオンラインでの国民監視に基づいた社会モデルを押し付けている
・7人のジャーナリストがパンデミックに関する取材のために現在も拘束されており、450人以上のSNSユーザーが、新型コロナウイルスに関する「偽りの噂」を共有したとして一時的に逮捕された
・2021年時点で、中国は報道の自由に関する規制が最も厳しい国であり続け、現在120人以上が拘束されているが、その多くは命を脅かすような状況に置かれている
・ノーベル平和賞受賞者でRSFの「報道の自由賞」を受賞したリュウ・ギョウハ氏や、反体制派ブロガーのヤン・トンヤン氏が2017年に亡くなったように、チベットに関する情報をメディアで発信するクンチョク・ジンパ氏は、刑務所での不当な扱いにより2021年2月に死亡した
・中国の国営・民営メディアは共産党のこれまで以上に厳しい管理下に置かれており、政権は外国人ジャーナリストに対してますます多くの障害をつくり出している。同時に北京は、中国主導の「国際メディア新秩序(new world media order)」を推進することで、その抑圧的なモデルを海外へ広めようとしている

今回の結果は、パンデミックにより世界各地で情報へのアクセスが遮断され、報道妨害が増加したことを反映していると国境なき記者団はみているとのこ

2,779ファンいいね
226フォロワーフォロー
2,472フォロワーフォロー

【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

最新ニュース

Yuka Hirose
Yuka Hirose
ライター・翻訳者。大学で工学を学び精密機器メーカーで勤務ののち、2020年に独立。群馬県出身。

関連記事