コミュニティでクリエイターとの関係強化、コンテンツビジネスの土壌育てる・・・講談社「DAYS NEO」責任者 鈴木綾一氏 特集「熱いコミュニティの作り方」

2021年5月の特集は「熱いコミュニティの作り方」。メディアにおけるコミュニティは常に様々なチャレンジがなされる領域ですが、成功事例は少ないのが実情。どのようにユーザーに寄り添い、一緒にメディアを作り上げていくのか、先駆者に聞きます。 デジタル化が進む中、…

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コミュニティでクリエイターとの関係強化、コンテンツビジネスの土壌育てる・・・講談社「DAYS NEO」責任者 鈴木綾一氏 特集「熱いコミュニティの作り方」
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2021年5月の特集は「熱いコミュニティの作り方」。メディアにおけるコミュニティは常に様々なチャレンジがなされる領域ですが、成功事例は少ないのが実情。どのようにユーザーに寄り添い、一緒にメディアを作り上げていくのか、先駆者に聞きます。

デジタル化が進む中、ビジネスモデルが大きく変わりつつあるマンガビジネスの市場に、豊富な資金力をもった巨大プラットフォームが次々と参入してきています。大手出版社はそうした環境変化にどう対応しているのか。講談社でマンガ家と編集者のマッチングサイト「DAYS NEO」の舵を取る鈴木綾一氏に、クリエイターコミュニティの理想的な関係性と今後の展開について伺いました。

コミックDAYSより「DAYS NEO」発の作品一覧

DAYS NEOでやりたかったことはクリエイターとメディア関係の不均衡是正

ーーーDAYS NEOとはどんな仕組みなんでしょうか。

講談社は創業112年を迎えた出版社なのですが、作家や画家などのクリエイターにとってより良い創作環境を整備しつつ、その作品を販売するというスタイルでずっとやってきました。誤解を恐れず言えば、これまでもこれからもクリエイターやアーティストがいなければ成立しない企業なのだと考えています。

そんな会社で働きながら、“クリエイターが出版社と組む“、その体験価値を高めていけないかということをずっと考えつづけていました。そこで考えたのが「DAYS NEO」です。

きっかけは、以前「週刊少年マガジン」と「ヤングマガジン」の両方で新人賞の担当をしていた時のことです。「ネームの返事が遅いので催促してもよいか」「原稿料はいつ入るか」という類の相談が担当編集者ではなく僕に来ることが時々あったのです。直接の担当に確認すればいいことを、私にわざわざ確認するのだろうか。もしかしてクリエイターと編集者の関係が不均衡であることに原因があるのではないかと考えました。それから試行錯誤のすえ、考え出したのがDAYS NEOです。

DAYS NEOは2018年4月にスタートしたマンガ投稿サイトです。参加編集部の編集者が個々にプロフィール登録されており、各々が投稿されたマンガなどの作品に対しメッセージを送ったり、担当希望をしたりするものです。

投稿者は、編集者のプロフィールやサイト上での活動などを見て、自分に最も合うと思う編集者を逆指名することができ、やりとりのすべてがサイト上で公開されています。

現在は23誌の編集者270人が参加しています。ユーザーは約2万人になります。約2万の作品が投稿され、600組以上のマッチングが成立。70人以上の連載作家が生まれました。

ーーー出版社とマンガ家の関係が双方向になった感じですね

作家とマンガ家さんとの接点は、新人賞への応募や、原稿の持ち込みなどが基本です。しかし、それだけでは編集者がマンガ家を選べる一方で、マンガ家が編集者を選べません。出会いは持ち込みやスカウティングが基本でした。SNSでは「編集者からハラスメントを受けた」とか「描きたいものを描かせてもらえない」という“編集不要論”も出ていて、担当編集者の印象が媒体に対する評価になっているという状況もありました。

また、漫画家自身が編集者を選べるような仕組みがあれば、編集者自身が作家とのコミュニケーションにおいて競争にさらされるような環境が作れるのではないか、ということもありました。

ーーークリエイターの育成的な付き合い方ができる組織ということですね。


《堀 鉄彦》

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堀 鉄彦

堀 鉄彦

1986年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。 日経イベント、日経パソコン、日経ネットナビなどの雑誌編集を経験後、独立し、2018年4月に(株)ブロックチェーンハブに参画。グループ内に(株)コンテンツジャパンを立ち上げる。ブロックチェーン×コンテンツのプロジェクトに取り組む。2019年10月にビヨンドブロックチェーン(株)の取締役に就任。電子出版制作・流通協議会や電子書籍を考える出版社の会など複数のメディア系業界団体でデジタル系サービスの動向レクチャーを定期的に行っています

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