BLMや大統領選挙がトレンドに影響・・・Stitcherがコロナ禍のポッドキャスト業界動向に関するレポートを公開

ポッドキャスト制作企業の米Stitcherは7月7日(現地時間)、コロナ禍におけるポッドキャストの聴取行動、番組の好みなどに関するレポートを発表しました。その結果、パンデミック前後でリスナーの聴取行動が変化していることや、年齢や性別により聴取行動に違いがあることなどが明らかになったとのことです。

同レポートの作成にあたりStitcherは、2020年の1年間を通してStitcherアプリユーザー1万1,000人の聴取行動を調査しました。

コロナ禍の聴取行動の変化

調査の結果、以下のような番組数や聴取行動の変化が見られたということです。

・Stitcherの番組数は、2019年比で22.9%増加した。

Stitcherで配信されたポッドキャスト番組数の推移(Stitcherの発表より)

・新型コロナウイルスが流行した2020年3月以降、通勤時間の減少の影響があり、月あたりの聴取時間はやや減少したが、5月以降は回復傾向にある。2009年から2020年にかけて、月あたりの聴取時間は年々増加している。

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左:2020年1月~10月の月別総聴取時間 右:2009年~2020年の月間聴取時間の推移(Stitcherの発表より)

・週末よりも平日に聴く人が多く、週末に聴く人は2019年比で24.7%減少した。
・パンデミックの間は、7時から9時に聴く人の割合が減少した。

左:パンデミック前のポッドキャスト聴取時間帯 右:パンデミック中のポッドキャスト聴取時間帯(Stitcherの発表より)

・シリーズ番組(1エピソードが1分未満のものは除く)の3エピソードの90%以上を一気に聴く人(Binge users)の人数や聴取時間は、2019年比でわずかに減少傾向にある。休日よりも平日に一気に聴く人が多い。

左:曜日別の平均Binge Listener数 右:シリーズ番組を一気に聴いた合計時間の推移(Stitcherの発表より)

・人口が多い都市の方が聴いている人の割合が多い傾向にあるが、オレゴン州、アラスカ州、ノースダコタ州などは、米国平均よりも聴く人の割合が多くなっている。聴取時間も同様に、人口が多い都市の方が長い傾向にある。

州別比較 左:ユーザー割合 右:1ユーザー当たりの聴取時間(Stitcherの発表より)

・週あたりに聴取する平均番組数は、女性(6.12番組)よりも男性(6.46番組)の方がやや多くなり、2019年の調査と逆の結果となった。アプリ内で「お気に入り」に登録している平均番組数は、男性(30番組)よりも女性(32番組)の方が多くなった。週あたりの聴取時間は、女性(9.10時間)よりも男性(10.05時間)の方が長くなった。

性別比較 左:1週間当たりの平均聴取番組数 中:「お気に入り」に登録した番組数 右:1週間当たりの平均聴取時間(Stitcherの発表より)

・X世代(45〜54歳)が週あたりに聴く番組数は6.77番組で、全世代のなかで最も多く、「お気に入り」に登録している番組数も29番組と最も多い。ミレニアル世代(25〜34歳)の週あたりの聴取時間は、他の世代と比べて約1時間長く、10.42時間だった。

年代別比較 左:1週間当たりの平均聴取番組数 中:1週間当たりの平均聴取時間 右:平均「お気に入り」登録番組数

・新型コロナウイルスの影響により映画製作が中止になった際、著名人はファンとのつながりを求めてポッドキャストを利用する傾向にあった。2020年のトップ200にランクインしたポッドキャストのうち、22のポッドキャストで著名人が司会を務めていた。

・リスナーは、文化的な出来事に影響を受ける。ブラック・ライヴズ・マターや大統領選など、2020年は文化的な面で大きな出来事があり、Stitcherでの上位検索ワードも、話題となっている出来事に関するものが多かった。

・パンデミック前は、通勤のピークタイムが聴取のピークタイムだったが、お昼休みや午後の早い時間帯(午前11時~午後2時)に聴取のピークタイムがシフトしている。ポッドキャストを聴取しながらする主なことは、通勤から家事やガーデニングへと変化している。

・番組の好みは、若い世代(13~34歳)ではコメディやトーク系、年配の世代(35歳以上)ではニュースや政治系のコンテンツとなっている。

年齢や性別によりポッドキャストを聴く理由が異なる

今回の調査では、Stitcherのリスナーに対して、ポッドキャストを聴き始めた理由や継続して聴いている理由に関するアンケートも実施しました。その結果、年齢や性別により次のような違いがあることが明らかになったということです。

・Z世代と「Boomers(ベビーブーム世代)」の共通点は、「自分が応援している有名人や著名人が司会をしているから」という理由でポッドキャストを聴き始めた人が、25〜44歳の2倍いることである。これらの世代では、「あるテーマについてもっと知りたいと思うから」という理由も、他の世代よりも多くなっている。

・男性、女性、ジェンダー・ノンコンフォーミングのいずれにおいても、ポッドキャストを聴き始めた主な理由として「友人や家族」を挙げているが、女性では55.3%と最も高くなっている。男性とジェンダー・ノンコンフォーミングは、「SNSで番組を見た」(それぞれ20.5%と24.4%)、「ポッドキャストを配信している出版物やメディアの情報を追っている」(それぞれ18.3%と16.1%)など、その他の理由が多くなっている。

コロナ禍で聴取行動に変化が見られたポッドキャスト業界ですが、聴取行動をもとにどのようにマーケティング戦略を立てるかが、今後のリスナー獲得や維持に重要になりそ

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Yuka Hirose
Yuka Hirose
ライター・翻訳者。大学で工学を学び精密機器メーカーで勤務ののち、2020年に独立。群馬県出身。

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