著作権侵害サイト・アプリが年間13億ドルの広告収入を得ていることが判明

著作権侵害サイト・アプリは、年間13億4,000万ドル(約1,400億円)の広告収入を得ており、広告を掲載している企業にはアマゾン、フェイスブック、グーグルなどの大手グローバル企業も含まれていることが明らかになったようです。消費者に焦点を当てた非営利団体Digital Citizens Allianceがこの事実を発表しました。

同団体とオンラインコンプライアンス維持のための事業を展開する企業White Bulletが共同で実施した調査により、この事実が判明したとのこと。同調査は、著作権侵害サイト・アプリと判断された6万5,240のウェブサイトと1万9,147のアプリのなかから選出された、6,194のウェブサイトと884のアプリを対象に、1年間にわたって実施されました。

著作権侵害サイト・アプリはマルフェアのリスクを増大させる

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Digital Citizens Allianceは、著作権侵害や詐欺などは、インターネットの安全性に大きなリスクをもたらすとしています。同調査によると、著作権侵害サイト・アプリを閲覧すると回答したユーザーは、閲覧しない消費者に比べて、マルウェアに関する問題を報告する確率が2倍から3倍高くなっているとのことです。

今回の1年間にわたる調査により、著作権侵害サイト・アプリに頻繁に表示された主要ブランドの広告のうち、アマゾン、フェイスブック、グーグルの広告が73%を占めていることがわかりました。

著作権侵害サイト・アプリに最も多くの広告を掲載しているブランドTop5

しかし最近では、著作権侵害サイト・アプリに表示されるアマゾンの広告が大幅に減少しているようです。これは、大手企業が優先的に取り組めば、この問題に対処できることを示しているとしています。

著作権侵害サイト・アプリの実態

Digital Citizens Allianceは、調査結果の概要を以下のように報告しました。

・違法コンテンツを提供する上位のウェブサイトは、世界全体で年間10億8,000万ドル(約1,100億円)の広告収入を得ており、そのうち上位5社は、年間平均1830万ドル(約20億円)の広告収入を得ていました。これらのウェブサイトの多くは、取り締りや広告ブロックリストを回避するために、ドメインを変更したりリダイレクトしたりしています。

・違法コンテンツを提供する上位のアプリは、全世界で年間2億5,900万ドル(約280億円)の広告収入を得ており、ウェブサイトと同様に企業にとっては大きなビジネスになる可能性があります。違法コンテンツを提供するアプリの上位5つは、年間平均2,760万ドル(約30億円)の広告収入を得ています。著作権侵害アプリはウェブサイトに比べるとまだ規模が小さいですが、急速に成長している状況です。

・全米上位500社がその総収入に基づきランキングされる「フォーチュン500」に含まれるブランドは、著作権侵害サイト・アプリの主要な収益源の一つです。フォーチュン500に含まれるブランドは2020年、著作権侵害サイト・アプリに約1億ドルの広告費を支払っていました。

・著作権侵害サイト・アプリがインターネットユーザーや企業、組織にもたらすリスクが改めて浮き彫りになりました。6,640億回の広告インプレッションをWhite Bulletは調査し、著作権侵害サイト・アプリのおよそ3つに1つが、消費者を詐欺やマルウェアにさらす危険な広告を掲載していることが明らかになりました。

・著作権侵害サイト・アプリによって有名企業が風評被害のリスクに直面していることが明らかになりました。2021年7月に2,126名のユーザーを対象に実施した調査によると、アメリカ人の5人に2人が、著作権侵害サイト・アプリにブランド広告が掲載されているのを見て、これらのブランドの印象が悪くなると回答しています。反対に、ブランド広告が著作権侵害サイト・アプリの信頼性を高めているとユーザーが感じていることもわかりました。

フェイスブックやグーグルなどの大手企業が著作権侵害サイト・アプリの収益化を後押ししてしまっている状況であり、これらの大手企業がどのように対応していくかがカギとなりそ

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Yuka Hirose
Yuka Hirose
ライター・翻訳者。大学で工学を学び精密機器メーカーで勤務ののち、2020年に独立。群馬県出身。

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