英BBCは現地時間10月29日、コンテンツの公平性や編集基準、内部告発などに焦点を当てた10項目の計画を発表しました。同計画を通じて、スタッフの育成と保護を強化し、BBCの全サービスにおけるコンテンツを改善するとのことです。
同計画は、BBCのティム・デイビー事務局長が2020年に就任した際に発表した、ユーザーからの信頼とコンテンツの公平性に関する新たなコミットメントに基づいたものであるとしています。発表された計画の内容は、以下のとおりです。
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1.評価
国民的な議論になっている分野のコンテンツを対象としたレビューを実施することで、公平性を確保し、幅広い声や視点が反映されていることを確認する。評価に伴い、外部調査員を任命する。
最初の評価テーマは英国の公共支出と税制であり、2022年1月に開始して夏までに完了する予定。英紙ガーディアンによれば、BBCのジャーナリストたちは今後の評価対象となる可能性のある分野をすでに予測しており、そのなかには文化戦争の問題や移民問題などが含まれる。
2.管理
BBCの編集方針チームを強化することで、コンテンツ制作者を支援する責任が増す。BBCの経営幹部は、コンテンツが編集基準をどの程度満たしているかを評価するための内部管理コンテンツ評価を主導する。
3.調査
内部調査に対応するための簡単な手順を公表する。この手順は、経験豊富なスタッフを指定して調査を実施させ、放送や出版されたコンテンツの編集に関する苦情をどのように処理するかについて明確化するもの。
4.監視
編集に関する不満、訓練、ユーザーの認知度と人口統計データ、10項目の計画に基づく行動の追跡など、公平性に関する指標を理事会が監視する。
5.編集ガイドライン
BBCの編集ガイドラインは、BBCで働くための要件である。そのため、故意または過失による違反や、それを隠そうとする行為は、年功や役割にかかわらず、懲戒処分または解雇の対象となることを明らかにする。編集ガイドラインは、より目立つようにして使いやすくし、編集者とマネージャーは、チーム内での議論を通じて信頼関係を築くようにする。
6.ガバナンスの強化
「編集ガイドライン・基準委員会(Editorial Guidelines and Standards Committee)」にBBC以外で経験を積んだ2人の編集専門家を任命することでガバナンスを強化する。この任命には、他の理事会メンバーに適用されるのと同様の公平性の要件が適用される。
7.訓練の実施
2021年に開始した公平性に関する訓練を、フリーランスや新入社員など、BBCに関わるあらゆる人を含めて組織全体に拡大し、本質をしっかりと理解してもらう。
8.透明性
社内外の透明性を高めるための新たな施策を導入する。たとえば、新たな編集トレンド、リスク、問題に関する情報を上級管理職で共有する。
9.内部告発
新たな内部告発方針を制定し、社内から出た不満に対応する人材を任命し、対応するための訓練を強化する。
10.意見と観点
スタッフの多様化を目的とした計画「Across the UK」や、継続的なユーザー調査を通じて、英国のあらゆる地域のユーザーを代表するような意見や観点ををもとにコンテンツを制作ことがマネージャーに求められる。
ティム・デイビー事務局長は、上記の計画について次のように述べています。
「BBCの公平性・正確性・信頼性は、英国および世界中のユーザーとの関係の基礎となるものです。ユーザーは日々、信頼できる番組やコンテンツを求めており、当社はすべての行動において最高基準を満たして責任を持たなければなりません。今回発表した計画は、過去の教訓から学ぶだけでなく、教訓から学んだ本質的な価値を未来に向けて守っていくものです」