2022年のSVODサービス解約数は1億5000万件、解約率は最大30%・・・デロイト予測

米デロイトは、2022年のメディア・テクノロジー・電気通信分野の予測レポート「TMT Prediction 2022」を公開しました。その中で、現在世界的に競争が激化しているSVODサービスについて、2022年中に少なくとも1億5000件の解約が発生し、解約率は最大30%に達すると予測しています。

SVODサービスが次々と登場して市場が成熟するにつれ、「未開拓」の消費者が減少し、ユーザーの取り合いとなります。そのため、ユーザー獲得コストが上昇し、リテンションの重要性が増すことになる、とデロイトは指摘しています。

米国はその傾向が顕著です。米国は、NetflixやDisney+、Amazon Prime Videoといったグローバルサービスのほか、HuluやHBO Max、新興のParamount+などがあり、SVODサービスが最も発達している国といえます。調査によれば、米国の約8割の世帯がSVODサービスを契約しているとのことです。

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そんな米国では、新サービスが次々と生まれ、大ヒットコンテンツが各サービスに分散していることから、消費者は自分が見たいコンテンツを正確に取捨選択し、限られたコストのなかで契約を管理する必要に追われています。そのため、サービスの契約と解約を繰り返したり、時にはより安価な広告型サービスへ乗り換えたりするようになる、とのこと。実際に、デロイトが行なった調査では、2020年10月から2021年2月の間に有料ストリーミングサービスを「解約した」と回答した人は約37%に上りました。

コンテンツ力でユーザーを維持するために企業は多額の制作費をかけていますが、それに伴う値上げにユーザーが耐えられず、長続きはしないだろう、とデロイトは予測しています。

デロイトの米国通信・メディア・テクノロジー部門を率いるジャナ・アーバナス氏は、米メディア ハリウッド・レポーターの取材に対し、「解約すると同時に他のサービスを契約する可能性があり、全体としては契約数が解約数を上回るため、一人当たりの平均契約数は増加すると予測しています」と述べています。

また、消費者の約25%が、解約と契約を繰り返す習慣を持っており、その大部分はZ世代が占めるといいます。アーバナス氏は以下のように述べています。

「新規ユーザー獲得と既存ユーザー維持のどちらか一方を無視することはできません。」「新規ユーザー獲得の原動力は、言うまでもなくコンテンツですが、その次に価格です。新規獲得だけに集中してしまうと、サービスの大幅な割引になってしまいます。そして、(その加入者を)維持できなければ、顧客の価値が下がってしまう可能性があるのです」

デロイトは結論として、以下の4つの戦略を挙げています。これらの戦略は、SVODに限らず、サブスクリプションサービスを提供する多くのメディア企業にとって有用なものといえるでしょう。

・ユーザーを獲得しやすい無料の広告型プランや独占コンテンツを含んだプレミアムプランなど、幅広い価格でサービスを提供する

・通信事業者やケーブルテレビなどと提携し、サービスを提供する

・細かいセグメントごとにデータを分析することで、顧客の行動を予測し、新たなコンテンツの開発リスクを下げる。そして、生涯価値の高い顧客を見極める

・他のSVOD事業者や、解約率管理の経験が豊富な電話会社、ゲーム会社、ソーシャルメディア企業などから戦

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【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

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