“個人の豊かさ”に寄与するためにメディアを運営、オールアバウト徳永氏・・・メディア業界2022年への展望(11)

今年もメディア業界は様々な事がありました。Media Innovationではいつもお世話になっている業界関係者の皆様に「2021年の振り返りと、2022年のメディア業界」というテーマで寄稿をお願いしました。年始にかけて順次掲載して参ります。いろいろな振り返りから、皆さんが…

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“個人の豊かさ”に寄与するためにメディアを運営、オールアバウト徳永氏・・・メディア業界2022年への展望(11)
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今年もメディア業界は様々な事がありました。Media Innovationではいつもお世話になっている業界関係者の皆様に「2021年の振り返りと、2022年のメディア業界」というテーマで寄稿をお願いしました。年始にかけて順次掲載して参ります。いろいろな振り返りから、皆さんが2022年を考えるきっかけにしてもらえればと思います。

2021年はクリエイターエコノミーも盛り上がり、サードパーティCookieの動向も非常に気になりました。そういったメディア環境の中でも常に新しい挑戦をされている株式会社オールアバウトのメディアビジネス部 ジェネラルマネジャー 徳永 正利 氏にコメントいただきました。

徳永 正利
株式会社オールアバウト メディアビジネス部 ジェネラルマネジャー
2012年6月株式会社オールアバウト入社。
入社以来オールアバウトのメディア成長、収益化に従事し、2017年事業開発部ジェネラルマネジャーとして新規事業開発・アライアンス業務にも取組む。2019年10月よりメディア事業部メディアビジネス部ジェネラルマネジャーとして引き続きメディアの成長とメディアの資産を活かした事業開発を担当。
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今年のご自身の仕事を振り返っていかがだったでしょうか?

2021年は1月8日の第2回緊急事態宣言からはじまり、ほぼ年間を通してコロナの影響が色濃い一年となりました。

人々の生活様式・働き方を含めて変化が求められる中で、必然的に情報取得手段、求められる情報の中身、情報に対する生活者のリアクションについても、昨年から続く変化がさらに色濃く出た一年になったように感じます。

All About」についても、総合情報サイトとして何を生活者の皆様に届けるべきか?その手段は何が最適か?多くのことを考え、変化させる必要があった一年だったと思います。

またビジネスモデルについても、インターネット広告市場自体は一定の回復や伸長を見せたものの、その多くは形式としては動画、目的としては販促など時勢を反映したものとなっており、必ずしも「All About」にとって全てが順調な1年ではなかったと思います。

そんな中、昨年から注力している動画やオンラインセミナー、ニュースを中心としたフローコンテンツを一定の規模にまで成長させられたことは、1年を通して良い変化になったと感じています。

今年一番注目した出来事は何だったでしょうか?

これは今年に限った出来事ではありませんが、クリエイターエコノミーの世界的な台頭です。

インターネットが情報流通の中心になり、良い意味でも悪い意味でもプラットフォームのアルゴリズムに左右され、また情報としてフラットに扱われる世界感の中で、メディアは生活者のアテンションを得るという意味では常に逆風の中にあると言えると思います。

テキストからはじまり、動画にいたっても、常に情報取得者の伸びを上回る形で情報発信者は増加しており、この流れは今後、情報提供の形やプラットフォームが変わっても不可逆だと感じます。

そんな中で、読者とのエンゲージメントを中心としたクリエイターエコノミーの拡大は、個々のクリエイターのみの問題ではありません。既に生活者から見ればフラットな情報提供者の1つであるメディアにとっても大きな変化になると感じています。

特に「All About」は元来オフラインでの新聞や雑誌といった元々パッケージ売りでのメディアをオンライン化させる流れとは異なり、専門家の方々の個別の情報を流通させるインターネット発のメディアとして誕生した経緯があるだけに、メディアの在り方やビジネスモデルそのものの変化の起点にもなるのではないかと考えています。

2021年の出来事で、今後の焦点となりそうな事は何だと思いますか?

さきほどの流れとも少し関係しますが、メディアは特にビジネスモデルにおいて、より読者との結びつきを強化する必要があると思います。

Googleは、ChromeブラウザにおけるサードパーティCookieのサポート完全終了を2023年後半まで延期するとの発表を行いましたが、現在進行系でディスプレイ広告における収益性は減少していると感じますし、自社で1stPartyデータを保有しないメディアはより厳しい状況になるでしょう。

また、それは単に広告の収益性の問題だけではなく、これから発生しうる広告以外のビジネスモデルの機会を失うこととも直結します。

我々も含めて、単に広告の収益性を高めるための1stPartyデータの取得ではなく、そこを起点とした自社特有の生活者への提供価値を見極め、ビジネスモデルとしても成立させる必要があると感じています。

「All About」の場合、前述の専門家の方々の力を派生させる形で年末に「with Pro」という企業向けのマーケティング支援サービスをリリースさせていただきました。

これは専門家から商品のコメントをもらい販促やPRに活用したり、各領域に詳しい専門家に直接インタビューが行えるサービスです。(その他イベント登壇やコンテンツ監修なども可能です。)

これ自体は企業の皆様向けのサービスではありますが、同様の座組は形を変えて読者の方にも生活課題の解決支援という形でご提供可能だと考えています。

その一番の入口としてメディアとの相乗効果が生まれるのが理想です。

2022年への意気込みを聞かせてください

最初の振り返りで書いたことと少し矛盾するかも知れませんが、生活総合情報サイトである「All About」には、様々な課題解決ニーズに沿った生活者の方が訪問しており、その分析から見えてきたことは、環境が大きく変化する一方で、”変えたくないこと”も多く存在するということです。

それは季節の何気ない行事だったり、人と人との結びつきなど、変化を強いられるからこそ一層強くなる、生活者の生活の豊かさへの根源的な欲求だと思います。

「All About」は創業以来変わらず”個人の豊かさ”に寄与するためにメディアを運営していますが、2022年以降もそこは変わりません。

メディアとしては引き続き動画・オンラインセミナー・ニュースなど、より一層提供価値の深さと幅を強化していき、そこでの生活者とのエンゲージメントを起点とした、より直接的な課題解決サービスの提供の実現に向けて邁進したいと思います。

《浜崎 正己》

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浜崎 正己

メディアの立ち上げと運用を支援する(株)メディアインキュベート の代表。1988年千葉県生まれ。Twitter : https://twitter.com/masaki_hamasaki

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