「シカゴ・サンタイムズ」がペイウォールを廃止、非営利団体となり地元ニュースを支える

近年、シカゴは、ローカルニュースの革新の拠点として知られており、今回は有料新聞だった”シカゴ・サンタイムズ(Chicago Sun-Times)“がペイウォールを外して、コンテンツの無料閲覧にし、寄付を中心にした非営利経営へ転換しました。(米国の場合、日本の非営利団…

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「シカゴ・サンタイムズ」がペイウォールを廃止、非営利団体となり地元ニュースを支える


近年、シカゴは、ローカルニュースの革新の拠点として知られており、今回は有料新聞だった”シカゴ・サンタイムズ(Chicago Sun-Times)“がペイウォールを外して、コンテンツの無料閲覧にし、寄付を中心にした非営利経営へ転換しました。(米国の場合、日本の非営利団体と違い利益を出して次の期に持ち越したり、役員の給与が民間と同じレベル、寄付の額が億単位というケースも多々あります。501(c)という法人格を指します。)

今回のシカゴ・サンタイムズ以外にも、最近ジャーナリズムに関連するNPOの成功事例として、公共会議の記録を作成する人材を育成するCity BureauのDocumentersプログラムが、全国に拡大しつつあります。Block Club Chicagoは、非営利の調査報道チームを結成しています。更に『South Side Weekly』と『Hyde Park Herald』が合併し、サウスサイドに特化した非営利のニュースルームを設立しました。そして、1月にはシカゴ・サンタイムズが、シカゴ・パブリック・メディアの一部として非営利のニュースルームとなったのです。

Medill School of Journalismの6月のレポートによると、2019年後半から2022年5月の間に、米国では360の新聞が閉鎖されました。2005年以降、全米の新聞の4分の1が閉鎖され、毎週2紙が閉鎖されているとのことで、イリノイ州はこの間、どの州よりも最も多くの新聞社を失っています。また、2006年以降、新聞社の従業員は70%減少している。この調査はまた、ローカルニュースが本当に重要であることも示しています。地域社会でローカルニュースがなくなると、汚職や公害、貧困が増加し、投票率も低下します。

このような背景から、同社は「シカゴ地域のすべての人が、経済力に関係なく、シカゴ・サンタイムズのスタッフが制作するニュースや特集、調査にアクセスできるようにすべきだという強い信念を固めた」として、ペイウォールを取り払い、電子メールアドレスさえあれば、誰でも無料でシカゴ・サンタイムズのウェブサイトを読むことができるようにしました。

また、ペイウォールの代わりに、寄付型のデジタルメンバーシッププログラムを立ち上げ、読者が信頼するニュースを届けられるように必要な金額を支払えるようにしました。「メンバーシップ・プログラムは、私たちの収益モデルとコミュニティへの貢献度をより密接に結びつけ、読者の皆様への説明責任を果たすもの」と同社は述べています。

シカゴ・サンタイムズは次のように呼びかけています。

1) 今すぐ、suntimes.com/member で創設メンバーになって Sun-Times を支援する。
2) 次のいずれかのプロンプトに基づいて、コミュニティについて編集者に手紙を送信します。
ストーリーを教えてください: 自分のコミュニティを特に誇りに思った瞬間、またはコミュニティを団結させた瞬間について説明してください。

記録を修正する: あなたのコミュニティについて人々が見逃している、または誤解している点は何ですか?
編集者への手紙 — 私たちは、私たちの街のすべての素晴らしい地域からそれらを得ることを望んでいます。  
 200から400 語で、letter@suntimes.comに送ってください。
#CSTforall を付けて、ソーシャルメディアであなたのストーリーを共有してください。

《前田邦宏》

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前田邦宏

前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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