紙媒体を維持しつつ「デジタルファースト」に転換、ダイヤモンド・オンラインの破壊的戦略

10月14日に開催された「メディアのDXについて考える一日 Media DX Conference2020」に、ダイヤモンド編集長の山口氏が登壇。紙媒体の「週刊ダイヤモンド」が29年連続で市販部数1位を維持しながら、「ダイヤモンド・オンライン」の有料会員は3年で週刊ダイヤモンドの…

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10月14日に開催された「メディアのDXについて考える一日 Media DX Conference2020」に、ダイヤモンド編集長の山口氏が登壇。紙媒体の「週刊ダイヤモンド」が29年連続で市販部数1位を維持しながら、「ダイヤモンド・オンライン」の有料会員は3年で週刊ダイヤモンドの部数に迫るという好調が続いています。「伝統メディアのサブスク革命」と題したウェビナーで、現在の成功の礎となった創刊時からのDNAと、デジタル化に向けた戦略と改革について話しました。

編集方針、DNA

自己紹介と媒体概要の後に同氏が触れたのは、大正2年の創刊時から「算盤主義」、現在でいうデータジャーナリズムを貫いてきたというダイヤモンドの編集方針について。代表的なヒット特集に「決算書100本ノック」「倒産危険度ランキング」を挙げたうえで、高い専門性を有した記者が仮説に基づき収集した客観的データを数値化・検証することで、物事の本質をあぶり出し独自性の高いコンテンツを生み出していると説明。その基本的姿勢がサブスクリプションモデルを展開するうえでも大いに生きたと語ります。

さらに、客観的な事実に基づき報じるべきと判断したものは、出入り禁止や訴訟に発展したとしても書き続ける「健全なジャーナリズムの追求」の重要性を挙げます。広告主・読者・取材先が重なるメディアだからこそ、どこにも媚びないバランス感覚が必要であり、編集と広告の間には厳密なファイアウォールを設けているといいます。「取材先との緊張感のある関係性は堅持しながら、自社に対しても批判的な視点を貫く覚悟が必要。ここでしか読めないことに徹底的にこだわった記事を書けば、多くのユーザーがペイウォールを超えてくれる。創刊当初から受け継いだ編集のDNAが今に生かされています」と力を込めます。

編集部のデジタル化推進は、雑誌市場の凋落に加え、社内のデジタル改革チームの予測で「2027年に週刊誌が消滅」という悲観的シナリオが導き出されたことがきっかけでした。2018年にこの結果を経営陣へ共有し、2019年に同氏が編集長に就任したのを機に、週刊ダイヤモンドとダイヤモンド・オンラインに分かれていた編集部を「ダイヤモンド編集部」に統合、よりフラットな形を目指した組織改革を行いました。


《Maho Nishida》

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