プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers、以下PwC)は、2019年度のメディア業界のM&A市場に関する見解や、今年の展望を発表しました。
この見解のなかで、PwCは、
「2019年度のメディア業界でのM&Aの件数は635件で、件数自体は前年度と比較して27%減少している。また、2019年度の買収総額は919憶ドルで、前年度と比較して25%減少している。」
としたうえで、
「しかし、件数や買収総額は減少したものの、市場を一変させるような大きな案件が次々と成立し、従来のメディアとビッグテックとの関係を崩壊させるような集中戦略をつぎつぎと打ち出したため、2019年度はこの分野において大きな変革をもたらす年になった。」と報じています。

取引内容では、広告・マーケティングとインターネットが引き続き取引量全体の多くを占め、2019年度ではその割合は58%にのぼります。また、全体の取引量のうち28%をプライベート・エクイティの買収が占めており、ここ数年では最も高い水準になっています。

大きかったディールはファイバー網やデータセンターなどを運営するZayo Groupのプライベート・エクイティ・ファンドによる買収。CBSによるバイアコムの買収は第2位でした。

また、2020年度のメディア業界のM&A市場に関しては、「基本的には2019年度と同様の傾向が続くであろう」とし、そのなかでも特に来年度M&Aを推し進めるなかで重要になるであろうテーマとして、「ストリーミング戦争」と「5Gの導入」の2点を挙げています。
「ストリーミング戦争」に関しては、OTTの分野に多くのメディアが存在し、競争している現状を踏まえ、PwCは「消費者の好みやコンテンツの人気の傾向を予測するため、魅力的なコンテンツやデータ、分析能力や人工知能を各プラットフォームは生成・調達する必要がある」と述べています。また、「5G」に関しては、「通信分野におけるM&A活動を促進し、加えてこの分野とつながる分野をより魅力的な買収ターゲットにする」と報じています。