株式会社ユーザベースが14日発表した、2020年第1四半期(1-3月)の業績は、売上高31億7100万円(前年同期比+11%)、EBITDA▲4200万円(―)、営業利益▲2億6300万円(―)、経常利益▲3億1700万円(―)、四半期純利益▲4億7300万円(―)と、買収したQuartz事業の苦戦を反映し赤字が継続しています。
同社の事業は、企業や金融機関向けのデータベース提供の「SPEEDA事業」、営業ツールやデータベース提供の「その他B2B事業」、コンシューマー向けの経済ニュースアプリ「NewsPicks事業」、および買収した米国発グローバルの経済メディア「Quartz事業」にセグメント分けされています。「Quartz事業」が苦戦し、買収時ののれん償却負担が大きい一方、その他の3事業はサブスクリプションの積み上げモデルで確実に成長を続けているというのが全体感として言えるでしょう。
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同社はARR(Annual Recurring Revenue=サブスクリプションで積み上がっていく年間の定額収益)を最重要指標として掲げていますが、MRR(同じ指標で月額の定額収益)がこの四半期では7.2億円に到達し、ARRでは87億円、この収益が全体に占める割合は63.2%になっているとしています。
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創業事業である「SPEEDA事業」は3月のMRRで4.2億円まで拡大。四半期の売上高は12.8億円(+24%)となりました。EBITDAも5.1億円で高収益事業として確立しています。4月にはエキスパートリサーチ事業を展開するミーミルを買収。更に経済情報プラットフォームとしての拡充を図ります。
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「その他B2B事業」ではアカウント・ベースドマーケティング(ABM)の支援ツールである「FORCAS」やスタートアップデートベースである「INITIAL」を展開。こちらも順調に成長していてMRRは8000万円まで拡大。単月黒字化を達成したということです。四半期の売上高は3.3億円(+102%)、EBITDAも50万円と黒字化を達成。
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「NewsPicks事業」では新型コロナウイルス以降、登録者数が急拡大。影響前の約3倍に増加したということです。MRRも1.84億円まで拡大。四半期の売上高では12.6億円(+24%)となりました。一方で急速な採用を続けていることから、EBITDAは1.2億円と、前年の1.7億円から減少しています。
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問題の「Quartz事業」は広告モデルからサブスクリプションモデルへの展開を進めていますが、新型コロナウイルスの影響で広告が大幅に減少。売上高は前年同期の6.2億円から2.8億円と半分以下に落ち込んでいます。サブスクリプションへの切り替えを進める中でMRRは増加していますが、2020年3月でも1200万円に留まっています。Quartzについては約4割の人員減を伴うリストラを実施、確実な黒字化を目指すとしています。