本記事はThe Conversationに掲載された、イギリスのUniversity of Salfordでメディア心理学を専門とするSharon Coen教授による記事「Climate crisis: news outlets still giving a platform to dangerous and outdatedviews」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。
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何年もの間、科学者たちは気候変動に対して迅速かつ効果的にアクションを起こしていく必要性がある主張してきました。私は、メディア心理学の研究者として過去10年間にメディアや読者が気候変動についてどのように論じてきたか研究対象の一つとして観察してきました。
残念ながら、この問題への対応は非常に遅いようです。現在、多くの報道機関は気候変動の危機を単なる幻想としてではなく、事実として報道するようになってきています。しかし、問題の規模を考えると、進展が遅すぎるように感じます。そこで私は、自らも進展に寄与すべく他の多くの学者や心理学者とともに環境運動団体「Extinction Rebellion(XR)」に参加しました。
XRは、気候の緊急事態と崩壊に対処することを目的とした政策や規制を迅速に行う必要があると長い間主張してきました。XRは、これに関して3つの要求を掲げています。
- 真実を伝えること
- 2025年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロの実現
- 決定が拘束力のある市民集会を開催する
XRは、政府やメディアが気候危機の深刻さについて真実を伝えていないと繰り返し主張しています。最近では主流メディアに対して、危機を強調し、気候問題の報道を増やすよう求めるデモを主導しています。
では、報道で気候危機はどの程度問題視されているのでしょうか。また、ジャーナリストは十分な報道をしているのでしょうか。
目次
偏りと歪み
2007年、オックスフォード大学の研究者たちは、気候危機の正確で一貫性のある報道の実現への障害に関して報告書を公開しました。